ただのオシャレ? エンジンカバーの役割とは エンジンの進化を補う「素材」の実力

近年のクルマは、ボンネットを開けてみるとエンジンが大きなカバーで覆われて、エンジンルームの見た目がすっきりとしている場合も。エンジンカバーにはどのような役割りがあるのでしょうか。それとも、単にデザイン上の理由で採用されているのでしょうか?

エンジンカバーはエンジンを「温める」目的も

 近年のクルマは、ボンネットを開けてみるとエンジンが大きなカバーで覆われて、エンジンルームの見た目がすっきりとしている場合も。エンジンカバーにはどのような役割りがあるのでしょうか。

ベンツCクラスのエンジンルーム。エンジンがカバーで覆われている。

 ボンネットの内側にあるエンジンが、大きなカバーで覆われていている車種があります。

 たとえば、メルセデス・ベンツ日本によると現在のベンツでは全車種に、スバルやマツダもほとんどの車種に、このようなエンジンカバーがついているそうです。

 メルセデス・ベンツではおおよそ2000年代前後、ディーゼル車に限れば1997(平成9)年の「ML270 CDI」(初代Mクラス)にはついていたといいます。エンジンカバーの用途について、メルセデス・ベンツ日本の担当者も、スバルの担当者も口をそろえ、複雑な配管やケーブルなどを隠す見た目上の理由が大きいのではないかといいます。

 マツダでも、2010年代から順次投入されていった「スカイアクティブ世代」の以前から装着されていたとのこと。見た目のみならず、「遮音や遮熱、エンジンのヘッド部分や各種の補機類を汚れから守るといった役割があります」と話します。

「特にディーゼルの場合、効率の悪いコールドスタート(エンジンが冷え切った状態で始動すること)の際にエンジンを早く暖めたいので、放熱を抑え暖機を促す役割もあります」(マツダ)

 実際にはクーラント(冷却水)を冷え切らないように工夫するなど、様々な部分の総合力でエンジンの性能を高めているといいいますが、一般的に騒音も大きいとされるディーゼルエンジンにとっては、遮音の面でもカバーの役割が大きいかもしれません。BMWの「320i」などでは、カバーとエンジンのヘッド部分とのあいだに、厚みのあるウレタンが挟まっており、カバーとセットで防振や防音の効果を高めていることがわかります。

【写真】エンジンカバーのさらに下にも…(5枚)

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