価格と実用性が優先の「軽トラ」も安全性能ニーズ高まる 背景に高齢者ユーザー増加
軽トラック専用の衝突回避支援システム「スマートアシストIIIt」を開発
軽トラックは乗用車とは違い特殊な特性があるので、これまでの衝突回避支援システムにいくつかの改良が必要だったといいます。
その特性とは「ショートホイールベース」「リア車重の軽さ」、そして幅広い荷物をいろんな状態で積む「積載条件の広さ」の3つ。どんな状況でもしっかりとブレーキをかけ、衝突を回避できる状況を広げるために軽トラック用に最適化された「スマートアシストIIIt」が開発されたというわけです。
「スマートアシストIIIt」は、センサーにステレオカメラを使い、対車両の衝突警報機能は約4~100km/h、歩行者に対しては約4~50km/hで対応。被害軽減ブレーキは速度上限約50km/h、衝突回避は対車両が速度上限約30km/h、歩行者には約50km/hまで対応します。
またMTにも組み合わせられるのもポイントのひとつで、自動ブレーキが作動した際はクラッチを切らないとエンジンが停止しますが、車両が停止してから約2秒間はブレーキを掛けた状態を保持する仕組みです。
新型ハイゼットトラックは基本的なグレードすべてで「スマートアシストIIIt」装着車が選べ、その価格は実質5.4万円となっています。
また、ハイゼットトラックは数ある軽トラックのなかで8年連続の販売台数ナンバー1を達成しています。その理由はどこにあるのでしょうか?
ハイゼットトラックの商品企画担当者は「パーソナルユースを重視していること」をあげます。
「たとえばキャビン形状は、通常よりも後方に広くてシートリクライニングなどができるタイプを従来から設定。またボディカラーはオレンジ、ブラック、カーキ、そしてローズマイカなど軽トラックの定番である白やシルバー以外も設定していて、バリエーションを豊富にしています。
さらにボディ同色のドアハンドルなどを採用して上質感を高めたほか、今回の改良では『農業女子パック』としてIR&UVカットガラスやバニティミラーなどの上級装備を組み合わせたセットオプションを用意するなど、乗用車感覚で軽トラックに乗るユーザーへの親和性を高めています」といいます。
「軽トラック」は実用性が最優先のはたらくクルマから、最近では快適性・安全性も考慮した「万能型軽自動車」にユーザーニーズを取り入れながら進化しています。
【了】
Writer: 工藤貴宏
1976年長野県生まれ。自動車雑誌編集部や編集プロダクションを経てフリーの自動車ライターとして独立。新車紹介、使い勝手やバイヤーズガイドを中心に雑誌やWEBに寄稿している。執筆で心掛けているのは「そのクルマは誰を幸せにするのか?」だ。現在の愛車はマツダ CX-60/ホンダ S660。