クルマはエンジン始動後すぐ発進が理想? アイドリング状態での「暖機運転」に賛否
暖機運転が必要というのも間違いではない
しかしアイドリング状態ではない、広い意味での暖機運転というものが必要ということも間違いありません。トランスミッションやデフギアなどは走らなければ内部のオイルが暖まらず、本来の性能を発揮できない場合もあります。
そこで、国内レースのスーパー耐久シリーズで、何度も優勝経験のあるTEAM NOPROのレーシングドライバーにして、メカニックでもある野上達也さんに、暖機運転に対してプロの意見を伺いました。
「燃費という概念はリッター何キロなので、アイドリングでの暖機運転は燃費悪化ですよね。それはともかく、エンジンを暖めて最適なクリアランスで使用したいという考えであれば負荷をかけないアイドリングでの燃費の部分は気にせず暖めるのが正解だと思います。
ただミッションや駆動系は動かさないと暖まらないので、始動後すぐスタートでゆっくり走らせたほうが一石二鳥だと考えています。僕はエンジンをかけたらすぐスタートして、負荷をかけずにある程度は慣らして走る派です。特に住宅地でのアイドリングもどうかと思いますしね」
しかしレースの場合ですとピットガレージの中で暖機運転していますよね?との問いには、「レーシングカーの場合は事前のチェックも含めて暖機運転をしますが、ジャッキアップしてタイヤが地面についていない状態でタイヤを空転させながら、駆動系も含め暖機運転をします。コースインしてすぐでもタイヤ以外は暖まっている状態で、つまりすぐにタイヤの条件以外は全開にすることができます。これは、駆動系が動いていない駐車中のアイドリング状態での暖機運転とは全く違います」
野上さんも語るように、エンジンだけを暖めるのではなく駆動系などを全般的に暖めるという暖機運転が重要だということです。
そのためにはアイドリング状態ではなく、エンジン始動後にすぐに走り出しながらも、ある程度の距離はゆっくり走るということが、正しい暖機運転と言えるでしょう。
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