スバル新型「フォレスター」は“新しい顔”に注目! なぜ大胆な変貌で「タフ路線」にシフトした? 担当デザイナーが「狙い」を解説!
【質問その6】フェンダー上部に入れた凹みの意味は?
――フェンダーは前後とも張り出しの上に凹ませたラインが入っていますよね。それはどんな理由があるのでしょうか。
「従来は光を受けた明るい面が主役で、ふくらみのエッジがキリッと出ていました。
いっぽうで新型は、凹ませたラインによって生まれる影の面を強調して、フェンダーの厚みを表現しています」
――たしかに陰影がしっかり出て、立体感が強調されます。
「削り取ったというよりは、フェンダーが車体から張り出してきたという印象を持っていただけたら狙い通りです」

【質問その7】クラッディングは空力デバイスになっている?
――「WRX」などではフェンダーに備わるクラッディング自体が空力を向上するパーツになっていますよね。表面の凹凸(空力シボ)で空気を剥離する効果があると聞いています。フォレスターにもそういった機能があるのですか。
「フロントフェンダーの穴からホイールハウス内の空気を抜いて、より接地性を高めるという機能はあります。
ただ、WRX のような空気を剥離する空力手法は今回は採用していません。
とはいえそういった空力のデバイスが全く無いかといえばそうではなく、たとえばフロントバンパーの下側アンダーカバーは空力シボが入り、空力に寄与しています」
【質問その8】Dピラーにあるガーニッシュはなぜ?
――Dピラーを見ると、従来モデルには無かったガーニッシュがありますよね。どういう効果があるのでしょうか。
「従来はDピラーの近くまでグイッとキャラクターラインが入っていたのですが、新型はありません。そのガーニッシュを境とし、それより下のボディはワイドに踏ん張る感じ、それより上(キャビン付近)は軽快な印象を与えています。
あと、今回は久々にツートーンカラーを設定しておりますので、ツートーンカラーを塗った際に塗装色が変わる境目をスマートにするという意味もありますね。ツートーンカラーが美しく見えるアクセントポイントといったところでしょうか」

【質問その9】リヤバンパーが大きく後方へ出っ張っているように見える理由は?
――リヤバンパーの形状が従来と違いますね。
「先代は後ろから見るとグッと左右を上げて門型で処理をしていたんですね。リヤゲートパネルを挟むように。それは後方から見たときにワイドに見えるメリットがあるのですが、洗車後に水が溜まってしまうという面もありました。
新型は大胆に形を変えています。実はSUVのなかにはバンパーの後方への出っ張りがフォレスター半分くらいしか無いクルマもあるんですよ。ミニバンや軽自動車などはリヤゲートとほぼフラットなクルマもあるくらい。パッケージングの利点に加え、ボディに塊感があるぶんバンパーがボコッとでると古いクルマのように見えてしまうというのもあります。
でも、そうする(張り出しを減らす)と、うっかりぶつけちゃった時にリヤゲートまでダメージが及んでしまいやすい。
フォレスターはスバルが考えるデザインと実用性のバランスが大切だから、段差をしっかり残しながらもスッキリと見えるようにデザインを処理しています。(接触してもリヤゲートにできるだけダメージが及ばないようにする)バンパーの機能はしっかり持っている。お客様にやさしくありたいというか、機能性は大事だと考えています」
【質問その10】インテリアのポイントは?
――インテリアのポイントも教えてください。
「インテリアで注目していただきたいポイントはですね……まず外観同様に従来型と比べるとガラッとイメージを変えたということ。
従来型はエクステリアと同様にスポーティなデザインとしているので、キャラクター線が多く入っていました。助手席前などはけっこう傾斜もあって、広さを感じられ開放的でしたね。
いっぽう新型は厚みがあり、クルマが乗員をしっかり守ってくれるという安心感を得られるデザインとしています。
パッドも厚みがあるし、フロントのドアトリムも水平基調とし、よりシンプルでありつつ価格に見合った重厚感とか品格があると感じていただけると思います」
※ ※ ※
ちなみに新型フロントシートは左右対称で内側(運転席なら左側)のショルダーを外側よりも大きくカットした“なで肩”となっていますが、それは後席から解放感を高めるだけでなく、運転席や助手席の人が振り向きやすいようにして前後席のコミュニケーションを取りやすさを狙っているからなのだとか。
新型フォレスターはスタイリングにおいて大胆な変貌を遂げたほか、インテリアではファミリー層への配慮が多くされているのも印象に残りました。
Writer: 工藤貴宏
1976年長野県生まれ。自動車雑誌編集部や編集プロダクションを経てフリーの自動車ライターとして独立。新車紹介、使い勝手やバイヤーズガイドを中心に雑誌やWEBに寄稿している。執筆で心掛けているのは「そのクルマは誰を幸せにするのか?」だ。現在の愛車はマツダ CX-60/ホンダ S660。
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