日産…頑張れ! どうすれば「王者ニッサン」返り咲きできる? アメリカの「新型SUV」3車種好調&「シルフィ」がヒント? どんなクルマが必要なのか考えてみた

最大市場の北米はどうする?

 こうした中国の厳しい状況に対し、日産にとってのもうひとつの主要なマーケットである米国市場では2024年の暦年で92万4008台を販売、前年比2.8%増を記録しました。

「リーフ」や「アリア」といったBEVの販売も好調で、特にアリアは前年比47%増の1万9798台を販売しました。

 また、販売台数以外の面では乗用車ラインナップもつぎつぎに刷新も図っており、2024年では3月に「キックス」とインフィニティ「QX80」、9月に「アルマーダ」、そして10月に「ムラーノ」といったSUV車種を中心にフルモデルチェンジを行ないました。

 2024年3月に発表された経営計画「The Arc」では、2026年度までに北米地域へ7車種の新型車を投入し、ラインナップの78%を刷新するとしています。

日産「ムラーノ」
日産「ムラーノ」

 つい先日も、2025年度中にミドルSUV「ローグ(日本名:エクストレイル)」のPHEVモデル、2026年度中には第3世代e-POWER搭載モデルを北米へ投入すると発表しており、これまで電動モデルが存在しないローグの販売強化へ繋げる狙いと見られます。

 伸び悩む中国市場では、合弁相手の「東風汽車」と共同で開発したセダン「N7」を2025年上半期に発売する予定です。

 N7は全長4930mm×全幅1895mm×全高1487mm、ホイールベース2915mmのBEVです。

 サイズやホイールベースから推測するに、ベースは東風汽車の「eパイ 007」(パイはギリシャ文字・円周率パイの記号)であると見られます。

 合弁相手先がすでに販売しているEVをベースに、中国市場向けの新モデルを用意する例は、マツダの「EZ-6」が挙げられますが、需要の変化が激しい市場においてスピード感のある新モデル投入には、今後必要不可欠な手法となってくることでしょう。

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Writer: 自動車ライター加藤博人

下関生まれ、横浜在住。2017年に初めて訪中した際に中国車の面白さに感動、情報を集めるうちに自ら発信するようになる。現在は慶應義塾大学環境情報学部にて学ぶかたわら、雑誌やウェブへの寄稿のみならず、同人誌「中国自動車ガイドブック」も年2回ほど頒布する。愛車は98年式トヨタ カレン、86年式トヨタ カリーナED、そして並行輸入の13年式MG6 GT。

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