総額約3200万円!?「アルファード“4台”盗難」で男が逮捕! 海外に不正輸出の疑いで… 直近でも「ランクル・LX」不正輸出で外国籍の男が告発される
先日、盗難車のトヨタ・アルファードを海外へ不正に輸出しようとしたとして、会社役員の男が逮捕されました。高級車が狙われる事案は各地で相次いでいますが、一体どのようなクルマが狙われているのでしょうか。
高級車だけでなく「軽トラック」も標的に!?
神奈川県警は2025年2月5日、過去に愛知県で盗難された車両(トヨタ・アルファード)を海外に不正輸出しようとしたとして、東京都新宿区に住む会社役員の男を関税法違反(虚偽申告)の疑いで逮捕しました。
高級車が狙われる事案は各地で相次いでいますが、一体どのようなクルマが狙われているのでしょうか。

男は、2024年6月から7月にかけて愛知県で盗まれたアルファード4台(時価総額約3200万円)を中古車と偽って横浜税関に申告し、タイに輸出しようとした疑いがもたれています。
盗難車両には、オークションで安く購入した中古車の車体番号を溶接するという隠ぺい工作がされており、税関職員が申告された年式と異なることに気付き発覚しました。
警察の調べに対し、男は「間違いありません」と容疑を認めています。
このように日本の高級車が盗難され、海外に不正輸出される事案は後を絶ちません。
2024年12月には盗難車のトヨタ「ランドクルーザー1台(時価800万円)」とレクサス「LX1台(時価1100万円)」をアラブ首長国連邦向けに輸出しようとしたオーストラリア国籍の男が千葉地検に告発されています。
この事案では輸出コンテナの前方にクルマの部品を積み込み、盗難車を隠すような工作がされていました。
なお、警察庁が2024年7月に公表した資料「令和6年上半期における車名別盗難台数の状況」によると、2024年1月~6月にかけては以下の順に盗難台数が多くなっています。
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1位:トヨタ・ランドクルーザー 590台(前年同時期256台)
2位:トヨタ・アルファード 303台(前年同時期358台)
3位:トヨタ・プリウス 287台(前年同時期260台)
4位:レクサス・LX 112台(前年同時期152台)
5位:レクサス・RX 80台(前年同時期34台)
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また上記のような高級車だけでなく、トヨタ「ハイエース」やダイハツ「ハイゼット」、スズキ「キャリイ」といった貨物の搬送に便利な車種の盗難も増えています。
特に軽トラックに関しては「盗まれないだろう」という意識が根強く、鍵をかけずに駐車しているドライバーも散見されるため、注意が必要です。
さらに、きちんと鍵をかけていてもクルマを盗まれるケースは少なくありません。
警察庁の統計によると2023年中、盗難被害に遭った自動車のうち約73.9%がきちんと施錠をしている状況でした。
クルマの鍵を開ける手口としては、玄関などに置かれたスマートキーから発せられる微弱な電波を特殊な機器で受信・増幅し、リレーのようにつないで開錠する「リレーアタック」や、クルマの左前部にある配線に特殊な機器をつないでドアロックを解除する「CANインベーダー」などが有名です。
加えて、最近では工具などでドアロックを解除した後に「キープログラマー」と呼ばれる特殊な機器を使って鍵を複製する手口もみられます。
日々犯行の手口は変化しているため、「これさえしていれば安全」といえる完璧な対策があるわけではありませんが、複数の対策を組み合わせて盗まれにくくすることは可能です。
たとえば不正な開錠が難しいディンプルキー(複数のくぼみが付いた鍵)付きのタイヤロックやハンドルロックをするほか、衝撃を感知して警報音が鳴る警報装置を設置するのもある程度効果的といえるでしょう。
リレーアタックに対してはスマートキーの電波を遮断するためにキーを金属の缶ケースの中に入れておく、CANインベーダーに対しては犯人がクルマの左前部を開けられないようクルマの左側を自宅の壁に沿わせて駐車するといった方法も有効です。
また自宅の駐車場に防犯カメラやセンサーライトを設置する、部外者が敷地に侵入しにくいよう門扉を閉める、ガレージがあればガレージ内に駐車することなども大切です。
そのほか、旧車を狙った窃盗団がクルマのワイパーにチラシを挟む、タイヤの前に空き缶を置くなどしてクルマが動いているか確認するケースもあるため、日頃から自分のクルマが狙われていないか注意を払っておきましょう。
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残念ながら、現状ではクルマが盗まれると解体や不正輸出などでユーザーの元に返ってこない事例も少なくありません。
万が一の盗難に備えてクルマにGPS装置を取り付けるなど、ユーザー自身で対策をとっていくことが肝要といえるでしょう。