2024年11月4日（現地時間）にスズキは、新型SUVとなる「e VITARA」を世界初公開しました。

　イタリア・ミラノのイベントで披露されたe VITARAとはどのようなモデルなのでしょうか。

　スズキ初となるバッテリーEV（BEV）の量産モデルe VITARAは、2023年1月にインドで開催されたAuto Expo。

　そして同年10月に日本で開催されたJAPAN MOBILITY SHOWで公開したコンセプトモデル「eVX」をベースとした量産モデルとなり、スズキのBEV世界戦略車第1弾です。

　eVXは、「Emotional Versatile Cruiser」をコンセプトに、先進感と力強さを併せ持つデザインを採用。

　BEV専用に新しく開発したプラットフォーム「HEARTECT-e」とBEVパワートレインを採用することで、BEVらしいキビキビとしたシャープな走りを実現すると言います。

　さらには悪路での走破性のみならずよりパワフルな走りを提供する電動4WD「ALLGRIP-e」も採用されます。

　そんなeVXをベースとたe VITARAは近代的なBEVの先進感とSUVの力強さを併せ持つデザインが特徴です。

　具体的には、「High-Tech & Adventure」をテーマに、BEVの先進感とSUVの力強さを併せ持ち、冒険心を刺激する力強いたたずまいとしています。

　エクステリアは大径タイヤとロングホイールベースを特長とした存在感のあるデザイン。

　インテリアには先進装備のインテグレーテッドディスプレイやタフな印象のパネルやセンターコンソールを採用して、「High-Tech & Adventure」を体現しています。

　プラットフォームにはBEV専用に新しく開発した「HEARTECT-e」を採用しました。

　ボディサイズは、全長4275mm×全幅1800mm×全高1635n、ホイールベース2700mm。最低地上高180mm。

　軽量な構造、高電圧保護、ショートオーバーハングによる広い室内空間を特長としています。また、メインフロアはフロア下メンバーを廃止し、電池容量を最大化しました。

　BEVパワートレインは、モーターとインバーターを一体化した高効率のeAxle、安心・安全を追求したリン酸鉄リチウムイオンバッテリーを採用。

　バッテリー容量は49kWh仕様（2WD）と61kWh仕様（2WD／4WD）を設定しています。

　49kWh仕様（2WD）のモーター最高出力はフロント106kW、最大トルクは189Nm。

　61kWh仕様（2WD）はフロント128kW、最大トルクは189Nm。

　対して61kWh仕様（4WD）はフロント128kW、リア48kW（合計135kW）、最大トルクは300Nmを誇ります。

　これによりBEVの特長である発進時のキビキビとした加速と、低速から高速までの追越し時のシャープな加速を実現。

　そして、スズキの強みである四輪駆動の技術「ALLGRIP-e」は、前後に独立した2つのeAxleを配置した電動4WDです。

　パワフルな走りだけではなく、レスポンスに優れた緻密なコントロールも可能に。

　また、片側のタイヤが浮くような路面でも空転したタイヤにブレーキをかけることで、反対側のタイヤに駆動トルクを配分（LSD機能）することで悪路からスムーズに脱出できるTrailモードも備えています。

　今回のe VITARAについて、スズキの鈴木社長は次のようにコメントしています。

「e VITARAは、お客様にとって使いやすいBEVとするため、試行錯誤を重ねて開発した、スズキ初のBEVです。

　当社は、カーボンニュートラル社会の実現に向け、BEV、ハイブリッド車、CNG車など、地域に合った様々な選択肢を提供してまいります。

　e VITARAの投入は、カーボンニュートラル実現のための非常に重要なマイルストーンとなります。

　今回のe VITARAを皮切りに、今後もさらにBEVのラインアップを拡充するとともに、それぞれの国や地域に適所適材なモビリティを提案してまいります」

※ ※ ※

　そんなe VITARAですが、2025年春よりインドのスズキ・モーター・グジャラート社で生産を開始します。

　2025年夏頃から欧州、インド、日本など世界各国で順次販売を開始する予定です。

　なお今回のe VITARA発表に先立って、2024年10月30日にはスズキとトヨタの「電動車領域で協業を深化」を発表しています。

　そこでは、以下のアナウンスがありました。

「スズキが開発するSUVタイプのバッテリーEV（BEV）を、トヨタにOEM供給することを決定しました。新モデルは、インドのスズキ・モーター・グジャラート社にて、2025年春から生産開始予定です」

　これにより、今回のe VITARAのOEMがトヨタでも展開されると見られます。