雪予報で慌てては遅い!冬タイヤ「スタッドレス」履き替え時期の目安

12月に入り、本格的に季節も冬になりました。雪予報が出たりするとクルマを運転を控えたり、そろそろ今年も「スタッドレスタイヤ」への履き替えを意識する時期になりました。ところで「スタッドレスタイヤ」に履き替えるのはいつがいいのでしょうか?

気温を参考にする「スタッドレス」履き替え時期

自動車が生活の主要交通手段となっているドイツでは、「冬になったらウィンタータイヤに履き替えなくてはならない」という道路交通規則がありますが、日本ではこれが各都道府県の規則によって異なり、かつ積雪、凍結時に限った場合で触れられることがほとんど。パッと見、非常に曖昧でわかりにくいというのが現状です。

ブリヂストン スタッドレスタイヤ BRIZZAK VRX2

 そしてわたし(モータージャーナリスト山田弘樹)の場合は、気温を参考にしています。目安としては朝晩の冷え込みが10℃以下。今年はまだ現時点でも東京は気温が13℃と高いですが(11月29日現在)、早いときは11月からスタッドレスタイヤに履き替える場合もあります。それは、タイヤがゴムを主体としてできているからです。

 ここまでお話すればもう察しが付くかもしれませんが、気温が低くなるほどゴムは硬くなります。

 朝一番の冷え込んだ環境で、目が覚めているとは思いつつも体や頭の反応・判断がまだ鈍く、ドライバー自身も暖気が必要な状況・・・。このような状況でも、ハンドルごしにタイヤが路面をつかむ様子がしっかり伝わってくれば、安心して運転をすることができますよね。

 そんなとき、スタッドレスタイヤは有効なのです。その理由は、スタッドレスタイヤのゴム(と構造)がサマータイヤに比べて柔らかく、この時期においては路面密着性が高いからです。

 また一般的には気温が0℃を下回れば、路面は凍結する場合が十分考えられます。また金属でできた路面のジョイント部分がある道などは、温度が非常に低く滑りやすい状態になりやすいと言えます。そして朝方に少し温度が上がると、これが溶け出したり、路面を濡らします。

 いまスタッドレスタイヤで最も重要視されている性能のひとつは氷上性能。路面とタイヤの間にある水の膜がスリップを引き起こすため、これを除去する性能が大切とされています。そしてこれは、雪が降らなくても起こるのです。

「雪が降らないのにスタッドレスタイヤを履くと、早く減ってしまうからもったいない」という話をよく耳にしますが、クルマをぶつけてしまえば修理代はそれ以上かかる場合が多く、たとえそれを下回ったとしても、愛車が傷つくのは悲しいことです。

 またそれ以上に、他者を巻き込んでしまうのは一番避けたいことでしょう。自分で交換ができない場合、初雪が降る前ならタイヤ屋さんやスタンドでの交換もスムーズにできます。

 ただしスタッドレスタイヤも万能ではない、ということはぜひとも覚えておいて欲しいことです。スタッドレスタイヤの排水性はサマータイヤに比べて劣る場合がほとんどで、現状は各社がこのウェット性能向上に技術を積み上げていますが、雨量の多い日は注意が必要です。

 こうした状況でもウィンタータイヤは夏タイヤと同等かそれに近いウェット性能を発揮しますが、日本の場合は雪質が異なる(アイスバーンになりやすい)ため、冬場はスタッドレスタイヤがその役割を果たしているのです。また最近は日本でも、「ベクター フォーシーズンズ」(グッドイヤー)のようなオールシーズンタイヤも登場しています。

 一番大切なのは、どんな季節でもリラックスして運転できること。自然なグリップ感が意識できるタイヤ選びをしてみると、少しずつクルマとの距離が縮まって行くと思います。

【了】

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Writer: 山田弘樹(モータージャーナリスト)

自動車雑誌「Tipo」の副編集長を経てフリーランスに。レース活動の経験を活かし、モータージャーナリストとして執筆中。並行してスーパーGTなどのレースレポートや、ドライビングスクールでの講師も行う。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。A.J.A.J.(日本自動車ジャーナリスト協会)会員。

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