電気機器メーカーのシャープは、2024年9月17日から18日まで東京国際フォーラム（東京都千代田区）にて同社の技術展示イベント「SHARP Tech-Day’24 “Innovation Showcase”」を開催。
　
　イベント内ではEVのコンセプトモデル「LDK＋（エルディーケープラス）」の実車を世界初公開しています。

　LDK＋（エルディーケープラス）は、2016年にシャープを買収した「鴻海科技集団（フォックスコン）｣と提携し、EVのオープンプラットフォームをベースに企画・開発されました。

　そこにEVの開発や販売、アフターサービスのほか、充電インフラサービスなどを手掛ける「フォロフライ」の協力を得て実現したコンセプトモデルです。

　LDK＋では、クルマ＝単なる移動手段ではなく、新たな生活空間として提案しています。

　車名のとおり車内をリビングルームの延長と位置付けており、特に「止まっている時間」に焦点を当てているとのことです。

　シャープ独自のAI技術「CE-LLM」やAIoT技術、センシング技術を駆使して、EVを住空間や人、エネルギーとシームレスにつなげ、快適で持続可能なライフスタイルを提供することを目指すとしています。

　ボディサイズは全長5m弱×全幅約2m×全高約2mと、トヨタの人気高級ミニバン「アルファード」（全長4995mm×全幅1850mm×全高1935mm）より少し大きめのサイズ感です。

　エクステリアは、シンプルな面とガラスの曲面が組み合わされたボディが目を惹きます。

　デザインのこだわりとして、LDK＋プロジェクトチームのデザイナーは次のように述べていました。

「スマートウォッチのような小さなデバイスの凝縮感をクルマに落とし込むことで、今までの自動車メーカーが作るデザインとは異なる、シンプルながら剛性感のあるデザインを目指しました」

　一方インテリアは、ドアを閉めると両サイドの窓に取り付けられた液晶シャッターが閉まり、プライベートな空間が生まれます。

　くわえてシャープの独自AI技術として、コミュニケーションを円滑にとるための高度な言語理解を実現する技術「CE-LLM」や、モノのインターネット（IoT）にAIを取り入れた「AIoT」を活用。

　これにより、家電が日常生活を通じて学習した情報をもとに、乗員の好みに合わせて車内の温度や明るさを自動で調整することで、快適な環境を提供します。

　そして車内後方には65インチの大型ディスプレイを設置。

　後部座席を後ろ向きに180度回転させて、車内をシアタールームや子どもの遊び場として利用することが可能です。

　さらにリモートワークにも対応しており、1人で集中して作業したい時に最適な空間として機能します。

　そのほかEVに搭載された蓄電池と太陽電池は家全体とも連携しており、AIが最適なエネルギーマネジメントを実現。

　災害などによる停電時には、クルマの蓄電池に蓄えられた電力を家庭で利用できるため、非常時にも安心です。

　このように、LDK＋は未来の生活と移動のあり方を提案し、クルマの新たな価値を提案するモデルとなっています。

　なお、市販化については数年後に市場へ出すことを1つの目標としているようです。