バスにある「謎の小部屋」って何のため? 長距離仕様で見かける気になる空間… 内部はどうなってるのか

仮眠室を使うときの交代基準って?過去の事故が教訓になっていた

 2人体制でバスを運転する際に使用されている仮眠室ですが、運転手の交代基準はどのように定めているのでしょうか。

 前出のWILLERの担当者は、次のように話しています。

「各種法令を参照し、運転手の連続運転可能時間をもとに、運行計画で予め定めている停留所や高速道路上の PA・SA等で交代を行います。高速道路走行時は概ね2時間毎に交代します」

 長距離バスにおける交替運転手の配置基準や運転時間については、厚生労働省により表明されています。

 夜間の走行の場合、合計の運転時間は原則9時間まで、実車距離は一運行原則400kmまでです。

 連続運転時間は高速道路の実車運行区間で概ね2時間までと定められており、休憩時間は実車運転4時間ごとに合計30分以上となっています。

WILLER EXPRESSでは、東京〜広島、東京〜岡山間を運行するバスの最後部に仮眠室を設けている(画像提供:WILLER EXPRESS)
WILLER EXPRESSでは、東京〜広島、東京〜岡山間を運行するバスの最後部に仮眠室を設けている(画像提供:WILLER EXPRESS)

 現行の基準は、2012年に起きた関越自動車道での高速ツアーバスをきっかけに改善されたものです。

 この事故は運転手の居眠り運転が原因で、7人の死亡者を出しました。

 その後、運行会社のずさんな管理が明らかとなり、社会的にバス運行の安全性が注目されるようになります。

 これを受けて、乗合バス事業者が貸切バス事業者に運行業務を委託する高速ツアーバスが廃止され、乗合バス事業者が自社運行を行うことで業務の管理を一本化した高速乗り換えバスへ移行し、運転手の労働環境も見直されるようになりました。

 運転手の休息をしっかりと確保し、体調管理を行うことは事故を防ぎ乗客の命を守るためにも重要なことです。

 そのため、運転手が十分に休めるよう配慮した仮眠の存在は大きな役割を果たしているといえます。

※ ※ ※

仮眠室は、運転手の健康を守り、安全な走行を実現するために欠かせない存在です。

長距離バスに乗るときには、 SAやPAエリアでの休憩時に運転手の動向を気にしてみると、仮眠室に入る瞬間を見ることができるかもしれません。

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2件のコメント

  1. 「乗り合いバス事業者が貸し切りバス事業者に運行業務を委託する高速ツアーバス」
    →誤りです。

    国交省の方針により廃止になった「高速ツアーバス」とは
    「旅行事業者が貸切バス事業者に運行業務を委託する」
    形態のものです。

  2. これ、運転中に使用する法的基準はどうなってるのでしょう?
    現行法規では寝台は走行中使用できないと思われますが…。
    以前は横向き座席はシートベルト免除できましたが、今はそれでは登録できないと思います

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