「キャンピングカー横転事故」なぜ発生? 死亡例もあるが…問題点は? プロが語る事前に注意すべきコトとは

事故の背景には「タイヤ」の影響が大きい? そもそも運転の仕方にも注意が必要か

 今回、上信越道で事故を起こした車両も、右前輪タイヤのパンクが要因となって横転したと各メディアで報じられました。

 別のキャンピングカーメーカーの代表は、タイヤとキャブコンの関係の重要性について力説します。

「キャブコンの事故を検証してみると、大抵の場合はタイヤが原因となっていることが多いように見受けられます。

 劣化が激しいタイヤを使っていたり、空気圧が適正値より少し上でなかったりということが事故の要因につながるのです。

 よくキャンピングカーの事故ではリアタイヤへの負荷が話題となりますが、実はフロントタイヤにこそ十分な配慮が必要です。

 キャンピングカーの構造上、利車両後部が重かったり、また積載物や後付けの装備によってリアの重量が増えてしまうと、走行中に前後運動が激しく起こります。

 すると、タイヤやサスペンションに大きな負荷がかかり、直線などをハイスピードで運転するなど、いくつかの条件が重なるとバンクやバーストする恐れが高まるのではないでしょうか」

キャンピングカーは普段乗っている乗用車とは運転感覚が異なることに注意!(画像はイメージ)
キャンピングカーは普段乗っている乗用車とは運転感覚が異なることに注意!(画像はイメージ)

 さらにこの代表は、昨今の気象状況も影響しているのではないかといいます。

「ここ数年の夏は、各地で気温35度以上になることが当たり前になってしまいました。

 こういう条件だと、路面温度は大変な高温になります。タイヤはそれでなくても摩擦で温度上昇が生じるのに、さらに厳しい条件に追いやられることになります。

 それでなくともキャブコンのタイヤへの負荷は大きいのに、管理の悪いタイヤはパンク・バーストの危険性がさらに高まるわけです。

 マメにタイヤの空気圧をチェックし、圧は適正値よりも少し高めにしておく、そしてスピードは抑えるというのは、キャブコンでは鉄則です」

 キャブコンの事故を防止するには、よくタイヤの状態を気に掛けることだとこのメーカー代表はいいます。

「日常的にタイヤの劣化防止やチェックを心がけ、出発前、ドライブ中に空気圧調整をするのはマストです。

 さらに酷暑の中で高速道路を走る場合は、走行速度を80km/h以下に抑えて、2時間以上の連続走行をしないことです。

 できるだけ小まめに休憩を取ることでタイヤの温度上昇を抑えることも、パンク・バーストの予防になります。

 あと、とにかくキャピングカーには性能の良い新しいタイヤを履かせるというのも重要ですね」

※ ※ ※

 そして、レンタカーなどで初めてキャンピングカーを運転するという人は、一般のクルマとの違いを十分に理解する必要があります。

 とにかくスピードを抑えて走り、急激な車両の挙動を生じさせる操作はしないということが大切です。

 小さな子どもを乗せる場合は適切なチャイルドシートやジュニアシートの装着を必ず行い、走行中は車内の移動をさせないといった対策を十分に取る必要もありそうです。

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Writer: 山崎友貴

自動車雑誌編集長を経て、フリーの編集者に転向。登山やクライミングなどアウトドアが専らの趣味で、アウトドア雑誌「フィールダー(笠倉出版社刊)」にて現在も連載中。昨今は車中泊にもハマっており、SUVとアウトドアの楽しさを広く伝えている。

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