トヨタ新型「ランクル250」は乗るとどう? 「パワー不足」と言われるが…ホントは? ディーゼルHVが欲しい!? オンロードで試乗!
「ちょっと足りない」と感じた? 具体的にはどういうコト?
パワートレインはディーゼル/ガソリン共に必要十分なパフォーマンスを備えていますが、オンロードを走らせた印象は、フットワークの驚きとは一転して、「ちょっと足りない」と感じたのが本音です。
ディーゼルは204ps/500Nmを発揮するIGD-FTV+8速 ATの組み合わせです。
ターボの小型効率化のよるピックアップの良さ、ATの多段化によりトルクバンドをより活かせるようになり、プラドから100kg以上の重量アップを感じさせないパフォーマンスはオフロードで実感済みですが、オンロードではプラスαが欲しい所も。
具体的には最も使う頻度が高い2000rpm前後で回転上昇が一瞬途切れるようなモタツキを感じました。
例えば巡行→加速のようなシーンで、本来ならディーゼルのトルクを活かしてシフトキープのままで「グーっ」と加速したいのに、トルクが足りずシフトダウン、結果的にドライバーは「力不足?」と思ってしまうのです。
もちろん、アクセルを更に踏めばいいのですが、個人的にはディーゼルの旨味はエンジンの“粘り”だと思っているので、もう少し頑張ってほしいなと。
それに加えて、音量は抑えられているものの濁音多め(乗用車系というよりトラックに近い)の音質が、静粛性の高められた室内でより耳についてしまい、進化した内外装や洗練された走りに対してちょっと取り残されてしまっている感じもしました。
個人的には価格の問題はともかく、海外向けに設定されるディーゼル+48Vマイルドハイブリッドのほうが日本の使い方ではマッチしていると思います。
ちなみに筆者は2023年末、タイで同パワートレインを搭載したハイラックスの試作車に試乗しており、その実力を知っているからこそ、より声を上げて言いたいです。
ガソリン車は163ps/246Nmを発揮する2TR-FE+6ATの組み合わせです。
ハードはプラドから変更されていませんが、発進~日常域でのスムーズなドライバビリティのために制御系の見直しが行なわれています。
一般道では実用域に割り切った特性でスペック以上に元気さに走ってくれるし、排気量を考えれば十分な実用トルクも備えられています、
残念ながら高速道路や山坂道になると絶対的な力不足は否めません。
更にエンジン出力が足りない所をATの変速タイミングが駆動力優先なでカバーするような制御になっているのか、とにかく駆動力確保優先でちょっとでもアクセル開度を高めると一気にギアは容赦なく即座にダウンシフトしてしまいドライバーはちょっとした加速をしたいと思っているのにエンジン回転が4000~5000pmまで上昇。
その時のその時もエンジンはワンワン唸るだけでなかなか加速してくれないので、「君はフル積載の昔の商用車か?」と思ってしまうくらいです。
もちろんアクセルをジワーっと踏むようなゆっくり、/ゆったりしたドライビングを心がければスムーズに走らせる走らせることもはできますが、せっかちな人、出力の高いクルマから乗り替えた人にはもどかしく感じるはず。
ガソリン車も海外向けには2.4Lターボモデルもラインアップされており、それを搭載すれば解決しますが、当然価格も上がるため、ガソリン車の立ち位置が変わってしまう事を思うと、何とも悩ましい所です。
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総合的には「令和のワークホース」のみならず「新時代のランクル」としての魅力はシッカリと備えられていますが、パワートレインに関してはオンロードでは良くも悪くも“割り切り”があるのも事実です。
ただ、グローバルではより高出力なパワートレインが用意されているため水平展開はそれほど難しくないと予想しますが、日本市場での250の立ち位置(300よりもアフォーダブルなプライス)を考えると、それが得策なのか判断は難しい所です。
ただ、個人的には今のグレード体系に加えて上級グレードとして用意されればアリかなと。そう、“選択肢”は多い方がいいです。
Writer: 山本シンヤ
自動車メーカー商品企画、チューニングメーカー開発を経て、自動車メディアの世界に転職。2013年に独立し、「造り手」と「使い手」の両方の想いを伝えるために「自動車研究家」を名乗って活動中。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。
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