4人乗りの日産「最上級セダン」存在していた!? クラス超え「豪華インテリア」ד画期的”すぎる技術採用! 「バブル真っ最中」に披露されたモデルとは
バブル真っ只中、日産は次世代の「超高級セダン」のあり方を示すコンセプトカー「NEO-X」を発表していました。現代にも活きる画期的な機構を採用したNEO-Xについて紹介します。
人に優しい知的高性能セダン「日産NEO-X」とは
1989年10月26日、元号が平成に変わり、さらには幕張メッセ(千葉市美浜区)のこけら落としイベントとなった第28回「東京モーターショー」の日産ブースには、24台の参考出品車と17台の市販車が展示されました。
24台の参考出品車の中には5台のコンセプトカーが含まれており、その中には「フィガロ」や「プリメーラX」「次期型プレジデント」等が含まれます。
そのひとつが、当時の日産のクルマづくりの技術とデザインを語る上でひとつの方向性を示したとされる「NEO-X(ネオ・エックス)」です。
「人に優しい知的高性能セダン」をコンセントに掲げたNEO-Xは、機能主義を越えた日本人の美意識と優しさを取り入れたデザインや、人間の判断領域にまで踏み込んでサポートする総合制御システム等により、人とクルマの新しい関係を追求したモデルです。
さらに、「いかなる時も扱い易く、快適な高性能」を実現するべく、インテリジェントなクルマを目指したモデルとなっています。
NEO-Xの主な特徴として「世界で通用する普遍性や新しい共感の創造を目指したデザイン」「Cd値=0.26を誇る、空力に優れたエアロボディ」「総合制御システム」が挙げられます。
この総合制御システムについては、エンジン・ドライブトレイン・サスペンション・ステアリング・ブレーキなどを相乗効果が出るよう、有機的に制御することで、運転のしやすさや快適性などの性能を、クルマとしてトータルで飛躍的に向上させることを狙った技術です。
NEO-Xには日産の最上級セダン「プレジデント」や、ほぼ同じタイミングでデビューした「インフィニティQ45」にも搭載された、当時の日産の最高峰に位置づけられるV型8気筒エンジン「VH45DE型」が採用されています。
また、セレクトバイワイヤー式フルレンジ電子制御5速AT、電子制御LSD、油圧アクティブサスペンション、4輪マルチリンクサスペンション、フロント・リアアクティブステアリング(4輪操舵)、制動力配分制御システムなど、同時に日産の最新技術がふんだんに注ぎ込まれた、まさに意欲作だったのです。
Cd値=0.26という空力特性に優れたエクステリアのデザインは、前後のオーバーハングが長く、Bピラーを廃した、当時の4ドアセダンらしさを感じさせます。
その一方で、電動格納式のドアハンドルは、現代の装備に通ずる「未来を見据えたモデル」であると言えます。
そして、NEO-Xのインテリアは極めてシンプルなデザインでまとめられています。
ベージュレザーが目を引く、ヘッドレストと一体化したシートは各座が独立した4人乗りレイアウトを採用。
メーター類はデジタル式で、さらにのちに人気モデルとなったスペシャリティクーペ「シルビア」(S13型)等にも採用されたホログラフィックヘッドアップディスプレイも装備されています。
シフトノブはフロアではなくコラム式、インストルメントパネルにはスイッチ類が一切なく、マルチファンクションディスプレイとその周辺に集約されています。
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新時代を予感させるモデルが数多く登場した、第28回東京モーターショーの来場者数は192万4200人。
ちなみに、これは歴代2位の記録です(歴代1位は、1991年に開催された第29回東京モーターショーの201万8500人でした)。
日産ブースを訪れた人々は、このNEO-Xをはじめ、1990年代に向けた同社の創造性とチャレンジスピリットを掲げた意欲的なモデルたちに感嘆し、魅了されたのです。
しかし残念ながらNEO-Xは市販化の夢は叶わず、お蔵入りになってしまいました。
Writer: 松村透
株式会社キズナノート代表取締役。エディター/ライター/ディレクター/プランナー。
輸入車の取扱説明書制作を経て、2006年にベストモータリング/ホットバージョン公式サイトリニューアルを担当後、2013年に独立。フリーランスを経て株式会社キズナノートを設立。現在に至る。
2016年3月〜トヨタ GAZOO愛車広場連載中。ベストカー/ベストカーWeb/WebCARTOP他、外車王SOKEN/旧車王ヒストリア編集長を兼務する。
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