【解説】スバル「インプレッサ」ってどんなクルマ?サイズやエクステリア&インテリアの特徴は? グレード・価格はどうなっている?
2023年4月にインプレッサは6代目へとフルモデルチェンジしました。発売から丸1年が経過した新型インプレッサの評価はどのようになっているのでしょうか。新型インプレッサの出来栄えを内外装からエンジンスペック、グレードごとのオプション装備の違いまで細かくチェックしていきます。
スバル「インプレッサ」ってどんなクルマ?
1992年に登場した初代インプレッサは、レガシィの上級移行に伴って空いてしまう5ドアコンパクトセダン/ハッチバックのポジションを埋めるために開発されたスバルのベーシックモデルです。
ベーシックモデルとはいえ、低振動・低騒音が特徴の水平対向エンジンによるクラスを超えた上質感が歴代インプレッサの特徴といえるでしょう。
また、これまで5ドアセダンのインプレッサをベースとした多くの派生モデルも登場しました。
利便性を高めた5ドアハッチバックモデルは「スポーツワゴン」のネーミングがつけられ、「WRX」の名前が与えられた高性能モデルはWRC(世界ラリー選手権)でも大活躍。
2010年には、5ドアハッチバックモデルの車高を高めてクロスオーバーSUVに仕立てた「XV」が登場しました。
3代目以降は5ドアハッチバックモデルが主力になり、セダンには「アネシス」「G4」といったサブネームが与えられています。
2023年4月に発売した現行型6代目は、5ドアセダンが廃止され、ハッチバックモデルのみのラインナップとなりました。
現在販売されている6代目インプレッサとクロストレックは、基本構造を共有する兄弟車の関係にあります。
クロストレックの前身となる「XV」は、インプレッサの車高を高めたクロスオーバーSUVモデルとして設計されていましたが、6代目インプレッサはSUV人気の市場動向を考慮してクロストレックのほうから先に開発された経緯を持ちます。
そんなインプレッサの特徴としては、より低重心の車体がもたらすスポーティで安定感ある走りが挙げられます。
またインプレッサには、クロストレックには設定がない純ガソリンエンジン搭載グレードを用意することで差別化が図られています。
●スバル「インプレッサ」のボディサイズは?
インプレッサのボディサイズは全長4475mm×全幅1780mm×全高1450mmです。クロストレックと比べると全高は60mm低く、フェンダーモールが備わらないぶん全幅は20mm狭くなっています。
インプレッサは代を重ねるごとに大型化しているものの、以前に比べて平均ボディサイズが大きくなっている現在の基準に照らし合わせると、ごく標準的なボディサイズといえるでしょう。最小回転半径も5.3mとクラスの標準的な数値に収まります。
プラットフォーム自体は先代から引き続き「SGP(スバル・グローバル・プラットフォーム)」が用いられますが、新型インプレッサは車体骨格を組み上げてから外板を溶接する「フルインナーフレーム構造」を採用することで、さらなる高剛性化と軽量化を両立。
先代よりも操縦安定性や振動収束性が高められ、持ち前の上質な乗り味がさらに高められています。
●エクステリア(外観)は先代よりシャープなデザインに
新型インプレッサのエクステリアのデザインは先代のコンセプトを踏襲しつつ、シャープな印象にまとめ上げられています。
印象変化に大きく寄与するのはヘッドライトとテールランプのデザイン変更といえるでしょう。
とくにLEDランプの採用により小型化したヘッドライトは、車全体を引き締めつつボディの抑揚をさらに強調。
このデザインにより新型は、インプレッサで5度目となるグッドデザイン賞を受賞しています。
上級グレードには、ハンドル操作と連動したLEDコーナリングランプや、高速走行時に閉じることで空気抵抗を低減するアクティブグリルシャッターも搭載。またグレードによって各部の加飾に違いが設けられています。
ボディカラーは、新色のサンブレイズ・パールを含めた全9色です。
クリスタルホワイト・パール
アイスシルバー・メタリック
マグネタイトグレー・メタリック
クリスタルブラック・シリカ
ピュアレッド
サファイアブルー・パール
ホライゾンブルー・パール
オアシスブルー(オプションカラー)
サンブレイズ・パール (オプションカラー)
●さらに洗練されたインテリア(内装)と機能! より疲れにくい車へと進化
内装も先代のコンセプトを引き継ぎつつ、デザインから機能まで細部に改善の手が加えられています。
インパネ中央に備わる大型ディスプレイ周辺にスイッチ類を集約させたことで、視認性と操作性を引き上げつつ、シンプルかつスポーティなスバルらしい内装デザインにまとめられている点が特徴のひとつです。
11.6インチのセンターインフォメーションディスプレイは、車両システムの設定変更やオーディオ、ナビゲーションシステムなどの機能が集約されるとともに、スマートフォンとの連携機能強化も図られています。
新設計のシートは、骨盤の仙骨を押さえることで車体の揺れが頭部へ伝わることを防ぐ大学医学部との共同研究したシート構造を採用。
さらにシートの取付剛性を強化して振動を抑制し、長距離運転でも疲れにくいように配慮されています。
耳にもっとも近いルーフ部分は、振動を吸収する特殊構造用接着剤を採用することで乗員に届く不快な振動や雑音を防止。
これら多くの機能改善により、インプレッサの持ち味となる静粛性・快適性・利便性がさらに高められ、より疲れにくく安全な車へと進化しています。
●ステレオカメラと単眼カメラの新型アイサイトで死角を排除
インプレッサに搭載されるスバルの予防安全機能「アイサイト」は、視野が従来型の約2倍にまで広角化された新型ステレオカメラと、二輪車と歩行者も認識可能な超広角の単眼カメラを組み合わせて性向上を図った新世代型です。
この新型アイサイトは、その年のもっとも優れた技術を搭載した国産乗用車に贈られる日本自動車殿堂カーテクノロジーオブザイヤー2023?2024を受賞しています。
また改良されたのはアイサイトのシステムだけでなく、急な先行車の割り込みや自転車の急な飛び出しなどへの応答性が引き上げられた電動ブレーキブースターの採用に加え、先代でも高評価だった衝突安全性もさらに向上しています。
スバルのコネクティッドサービス「SUBARU STARLINK」は、スマートフォンとの連携度合いを高め、遠隔でのロック操作や車両位置確認なども可能になりました。そのほか、走行中の重大事故や故障に際してのサポート機能も強化されています。
●パワートレインは純ガソリンエンジンと燃費性能に優れるe-BOXER(ハイブリッド)の2本立て
【ガソリンエンジン】
エンジン:2.0L水平対向4気筒エンジン
トランスミッション:リニアトロニック(CVT)
最高出力:113kW(154PS)/6000rpm
最大トルク:193N・m(19.7kgf・m)/4000rpm
WLTCカタログ燃費:14.0km/L(FF)、13.6km/L(AWD)
【ハイブリッド(e-BOXER)】
エンジン:2.0L水平対向4気筒エンジン+モーター
トランスミッション:リニアトロニック(CVT)
最高出力:107kW(145PS)/6000rpm
最大トルク:188N・m(19.2kgf・m)/4000rpm
モーター最高出力:10kW(13.6PS)
モーター最大トルク:65N・m(6.6kgf・m)
WLTCカタログ燃費:16.6km/L(FF)、16.0km/L(AWD)
インプレッサには純ガソリンエンジングレードと、ハイブリッドグレード「e-BOXER」の2種類が用意されますが、パワートレインの構成はどちらも2.0L水平対向4気筒エンジン+リニアトロニックCVTであり、大きな違いはトランスミッションに組み込まれたモーターの有無です。駆動方式はすべてのグレードにFFとAWDが設定されています。
e-BOXERが優れる点はモーターアシストによる出足の軽さと燃費性能です。WLTCモード平均燃費は、純ガソリンエンジンの14.7-15.8km/Lに対して、e-BOXERは18.9-19.4km/Lと大きな差をつけており、燃費性能の違いは郊外路や市街地などの低速走行時ほど大きくなります。
ただし純ガソリンエンジンの方がわずかに最高出力や最大トルクが高く、150kgほど軽い車重も相まって軽快に走行できるのは純ガソリンエンジングレードのほうと言えるでしょう。
●主力はハイブリッドグレード! 純ガソリングレードはインプレッサのみの設定
インプレッサのグレードラインナップは「ST」「ST-G」「ST-H」合計3種類です。純ガソリンエンジンを搭載したグレードが「ST」の1種のみ。
ハイブリッドモデルは中間グレードともいえる「ST-G」と、最上級グレードとなる「ST-H」の2種類が用意されます。
グレードごとの違いは、内外装の装飾と選択できるボディカラーが異なるほか、装備と選択できるオプションが異なります。
なお、純ガソリンエンジンモデルが用意されるのはインプレッサのみで、クロストレックはハイブリッドのみのグレード展開です。
●グレードごとの主な装備やオプションの違い
グレードごとの装備は、純ガソリングレードとハイブリッドグレードで大きく異なる点に注意が必要です。
インプレッサの利便性に大きく関わる「11.6インチセンターインフォメーションディスプレイ」と「キーレスアクセス&プッシュスタート」は、純ガソリンエンジングレードの「ST」ではオプションとなり、装着しなかった場合は代わりに7インチのセンターインフォメーションディスプレイが装着されます。
また、予防安全機能「アイサイト」は全車標準ですが、後側方警戒支援システムは「ST」に装備できないうえ、本革シートや電動シートのオプション設定もないなど「ST」グレードには装備の制限が目立ちます。
ハイブリッドグレード同士の装備差はそれほど大きくありません。最上級グレードの「ST-H」でなければ装着されない装備は「アルミ製スポーツペダル」や「サンルーフオプション」などの細かな装備品のみであるため、装備を厳選したい場合はST-Gを選んでも大きな問題とはならないでしょう。
ステアリングヒーターとシートヒーター、インフォメーションディスプレイに追加できる純正カーナビゲーション機能は、「ST」を含む全グレードでオプションとなっています。
●基本性能の高さでハイコスパ! 気になる新型インプレッサの価格は?
新型インプレッサの車両本体価格は以下の通りです。
ST:229万9000円(FF)、251万9000円(AWD)
ST-G:278万3000円(FF)、300万3000円(AWD)
ST-H:299万2000円(FF)、321万2000円(AWD)
6代目となる新型は先代からの見た目の変化は少ないものの、細部にまで改善が施されており、インプレッサの特徴であるクラスを超えた乗り味がさら引き立てられています。
もとより低振動・低騒音の水平対向4気筒エンジンに加え、液体封入式エンジンマウントの仕様変更やルーフの防音や防振などにより、車内の静粛性や快適性は先代よりも大きく向上。
さらに医学的知見を取り入れた新構造のシートや、ステアリングフィールの改善に効果的な2ピニオン電動パワーステアリングは全グレードに装備されます。
高い基本性能と安全性能を備えていながら、価格の安さがインプレッサのもっとも大きな特徴といえるでしょう。
とくに純ガソリンエンジングレード「ST」は、コンパクトカー並の価格で1クラス上の上質な乗り味が手に入るハイコストパフォーマンスな1台と言えます。
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