展示製品のウラ話をブース担当者に聞いちゃいました!「人とくるまのテクノロジー展 2024 YOKOHAMA」デンソー/アイシン/ジェイテクト編

アイシン 海外展開を見据えた 高出力車両向けハイブリッド駆動モジュール

 アイシンは、自動車部品、エネルギー、住生活関連製品の製造販売をする企業です。トランスミッションをはじめとする自動車の「走る・曲がる・止まる」に関わる幅広い製品を展開しています。

 同社のブースは、カーボンニュートラルな社会の実現に向けた「電動化」の製品・技術と、「安心・快適・利便」な移動をテーマとしています。

アイシン「FF1モーターハイブリッドトランスミッション」
アイシン「FF1モーターハイブリッドトランスミッション」

「電動化」については、電動ユニットのラインナップの中から、BEVに必要な駆動、電力変換、熱マネジメントなどの主要コンポーネントを集約し、エネルギー効率や搭載性を大幅に向上させる「Xin1 eAxle」や、走行性能、燃費の向上に貢献する「FF1モーターハイブリッドトランスミッション」などを出展しています。

「安心・快適・利便」な移動については、乗車前から降車後まで安心で快適な移動空間を提供するとする「ドアコパイロット」「乗員見守り」「最適駐車場提案」などの技術を紹介しています。

 同社ブースのなかで、とくに来場者の注目を集めていたのが「FF1モーターハイブリッドトランスミッション」です。

「FF1モーターハイブリッドトランスミッション」は、トルクコンバーターレスの6速オートマチックトランスミッションに、1モーター2クラッチ構造とインバーターを組み込んだ、通常の8速ATとほぼ同等のスペースにて搭載することが可能な、横置きエンジン用の高出力車両向けハイブリッド駆動モジュールです。走行性能、燃費、車両搭載性能の向上に貢献し、トルクフルでダイレクト感のある走りが特長だと言います。トヨタ「クラウンクロスオーバー」レクサス「RX500h」「LM500h」といった車両に搭載されています。

 ブースの担当者は「ここまでコンパクトで、最大490N・mまでの高トルクに対応したハイブリッド駆動モジュールは今まで存在しませんでした。制御的には難しい課題が多かったが、搭載要件の兼ね合いもありさまざまな試験や対策などをおこなったうえで、トルクコンバーターレス(トルコンレス)設計としています。フロント側に『FF1モーターハイブリッドトランスミッション』を搭載し、リア側に『Xin1 eAxle』を搭載することによって4輪駆動とすれば、さらに走りに振る(運動性能を向上させる)という活用も可能です」と解説。

 さらに「小型化にともなって、クラッチ部が熱を持ちやすい構造ではありますが、電動オイルポンプを活用した大流量のオイル冷却システムを取り入れることによって耐熱、冷却性能を向上。構造的に低速で坂道を発進を繰り返すなどというシーンで最も負荷がかかりますが、開発要件として海外を見据えていたため、海外でよくある“けん引しながら坂道を登るようなシーン”にも対応できる耐久性や容量を確保しています」とその特長や、開発背景について話しました。

ジェイテクト 実用的な「格納式ステアバイワイヤステアリングコラム」

 ジェイテクトは、ステアリングや駆動部品をはじめとする自動車関連部品や工作機械などを開発、製造、販売する会社です。

 同社のブースでは「アカルイミライへ続く道」を出展コンセプトとし、「地球にやさしいモビリティへの提案」「物流ドライバー負荷軽減の提案」「楽しく快適な移動時間の提案」の3つのソリューション提案を実現する製品を紹介しています。

ジェイテクト「格納式ステアバイワイヤステアリングコラム」搭載車で自動運転を行っている様子
ジェイテクト「格納式ステアバイワイヤステアリングコラム」搭載車で自動運転を行っている様子

「地球にやさしいモビリティへの提案」では、「第2世代ラックパラレル式電動パワーステアリング(RP-EPS)」、「新設計コラムアシストタイプ電動パワーステアリング(C-EPS)、「遊星減速キャリア一体JTEKT Ultra Compact Diff.」、「水素エンジン向け『高圧水素減圧弁』」「JTEKT Ultra Compact Bearing」を展示しています。

「物流ドライバー負荷軽減の提案」では、「高耐熱リチウムイオンキャパシタ『Libuddy』」、「商用車用コラム同軸操舵アクチュエーター」を展示。

「楽しく快適な移動時間の提案」では、自動運転システムとドライバーのハンドル操作をシームレスに調和する制御技術である「Pairdriver(ペアドライバー)」を紹介しています。

 とくに来場者が足を止めて見入っていたのが、同社ブースで投影されていた「格納式ステアバイワイヤステアリングコラム」の映像です。「格納式ステアバイワイヤステアリングコラム」は、運転者の操作が電気信号として前輪を操舵するモーターへと送られる仕組みの「ステアバイワイヤステアリング」を格納式にしたものです。

 映像には、「格納式ステアバイワイヤステアリングコラム」が装着された車両で、実際にテストコース内で自動運転をしている姿が投影されていました。同社のステアバイワイヤステアリング「J-EPICS」は、機械的なリンクが存在せず、完全なるバイワイヤ(電気信号で伝達する方式)です。

「格納式ステアバイワイヤステアリングコラム」の特長について同ブースの担当者は「手動運転のときに従来のクルマと同じくらいの操作性を確保するために、ステアリングコラムの取り付け剛性を確保しながら、インパネ内に格納できるスライド量を確保しました。他メーカーのコンセプトカーで格納式ステアリングを採用しているものもありますが、実際にはモックでのコンセプト展示となっていて、走行性能を担保できるまで実証しているものは少ないです。今回投影したジェイテクトの製品は、テストコース内での走行試験なども実走しておこなっており、実用化を前提とした開発をしています」と説明。

 さらに「停車時の車内スペース確保という面でメリットは十分ありますが、自動運転レベル4が実用化されてくれば、さらにニーズは高まるはずです」と、その将来性について語っていました。

※ ※ ※

 今回が、リアル開催31回目となった「人とくるまのテクノロジー展 2024 YOKOHAMA」。例年のパシフィコ横浜「アネックスホール」に「ノース」も加わり展示会場を拡大して開催された今回の人テクですが、「人と知をつなぎ、モビリティの未来を支える」という同展示会のミッション通り、各所で人々の交流が見られたのが印象的でした。

「人とくるまのテクノロジー展2024」は愛知県での開催も予定しています。会期は2024年7月17日から7月19日までの3日間で、場所は愛知県常滑市のAICHI SKY EXPO(愛知県国際展示場)です。

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