全長3m級で470万円!? 「小さな超高級車」がスゴかった! “匠”が仕上げた「豪華すぎ内装」採用! 日本でも販売した「老舗ブランド」の激レア車とは
全長4mにも満たないのに、極めて豪華に誂えた内装を備えた「シグネット」とはどのようなクルマなのでしょうか。
英国の「老舗ブランド」がつくった「超小型&高級車」
世界でも有数の高級車メーカー、アストンマーティン。しかし同社が、きわめて小さなモデルを作っていたことをご存知でしょうか。
それが「シグネット」です。しかもその成り立ちはとても変わっていました。どのようなクルマだったのでしょうか。
アストンマーティンといえば、世界に名だたる英国の高級車メーカーです。1913年の設立以来、高品質・高性能なスポーツカーを少数販売するスタイルで知られています。
近年では高級SUV市場にも参入しており、2500万円以上する「DBX」や、3200万円以上もする「DB707」なども販売しています。
基本的には大排気量かつ6気筒以上のマルチシリンダー・エンジンを搭載した大きなモデルを生産していますが、2010年に発表されたシグネットだけは、それらとはまったく異なる「超小型アストンマーティン」として誕生しました。
日本的なものさしで言えば、「唯一の5ナンバー車」なのですが、シグネットの小ささは突出していました。
というのも、そのベースが全長3mほどのシティコミューター、トヨタ「iQ」だったからです。
高級車メーカーのアストンマーティンがiQを用いたコンパクトカーを作った理由は、コンパクトカー市場を無視できないこと、東京のような渋滞が多く道が狭い都市部での移動を可能とする高級小型車が必要と考えた、とアストンマーティンは主張していました。
そしてベース車に、優れたシャーシ性能、コンパクトさ、高い安全性能を備えたiQが選ばれたといいます。
とはいえ、iQは当時130~180万円台で販売されていた小型車です。アストンマーティンがiQを使って高級小型車を生み出すというニュースは、かなりの驚きを持って受け止められました。
しかし完成したシグネットは、同社の持つイメージ、クラフトマンシップ、ブランド性を見事に反映。ですから登場時は再び驚きの声があがりました。
ではどうやってアストンマーティンは、それらをiQに盛り込むことができたのでしょうか。それは、シグネットの生産方法にありました。
iQは、トヨタの高岡工場(愛知県豊田市)から完成状態で出荷され、英国のアストンマーティン本社工場へ輸送。iQをバラバラにしてから、アストンマーティン独自のエクステリアやインテリアパーツを手作業で組み付けるという凝った方法を採りました。
その作業時間は、1人で作業をした場合で150時間。この数字は、同社他モデルの200時間と遜色ないものでした。
外装ではフロントウィンドウ、ヘッドライト、ドアパネル、ルーフ、リアフェンダーなどがiQから流用され、コロンとしたフォルムもそのままですが、フロントはアストンマーティンらしい横長のグリルによって精悍な顔つきに。
リアは、ゲートのみならずドアノブまで、シグネット専用部品が用意されました。ボンネットやフロントフェンダーにもアウトレットが設けられており、ほかの高性能アストンマーティンを連想させます。
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