“パジェロ”超えのミツビシ新型「本格4WD」誕生! ランエボ+パジェロな本格オフロードマシン! 新型「トライトン」の実力とは
ランサーからも引き継ぐ走りの良さ
そのほかにも三菱といえばランサーエボリューションを思い浮かべる人も多いでしょう。そこから派生した技術もトライトンには搭載されています。
そのひとつが「アクティブヨーコントロール(AYC)」です。「もう少し曲がってほしい時にこの技術がサポートします」と増田さんは説明します。
具体的には、常にヨーモーメント(クルマを上から見たときに左右に曲げる力)をクルマがモニタリングしており、この情報を元に、ドライバーが操作するステアリングの舵角スピード、タイヤの切れ角、そして車速などから本来欲しい理想的なヨーモーメントを自動的にクルマが計算。
実際のヨーモーメントと、理想的なヨーモーメントとの乖離が大きくなった時にイン側のフロントブレーキを少し作動させることで、曲がりやすくするものなのです。
ただし、ランサーエボリューションの場合はトルクベクタリングによってトルクを積極的に左右に配分していましたが、トライトンではこちらは搭載されませんでした。
もうひとつ、三菱ならではのネーミングも付けられました。「GSR」というグレード名です。
初代「ランサー」や「コルトギャランGTO」で初めて採用されたもので、三菱の高性能グレードにこぞってつけられました。
「往年のこのグレード名を聞くと当時の思い出がパーッと蘇るでしょう。トライトンはそういう歴史も繋いでいってもいるのです」と増田さんはコメントしていました。
ある開発エンジニアの一人は、トライトンを開発するにあたりパジェロを開発してきたレジェンドエンジニアたちから様々な話を聞いたそうです。
フレームを持つクルマの場合、モデルチェンジなどの期間が長いため開発スパンも当然長くなります。
そうすると、当時のエンジニアたちは部署が変わったり定年で退職したりする人たちも多く出てしまいます。
そこで立場が変わる前にたくさんの教えを請いながら、また当時の企画書を見せてもらいながら、そこに込められた開発意図や思いをスペックから読み取っていったそうです。
トライトンにもこうした開発のプロセスを受け継がせて作り上げたと語っていました。従って、見方によってはパジェロを超えたオフローダーがトライトンともいえるのです。
最後に少し夢物語を付け加えておきましょう。パジェロといって印象に残っている1台に「パジェロエボリューション」がありました。
1997年に発売されたこのクルマは、ダカールラリーにおいてT2クラスという市販車改造クラスにエントリーするマシンのベース(ホモロゲーションモデル)となるものでした。これを開発したのも増田さんなのです。
ここからは想像になりますが、増田さんの頭の中にはこのパジェロエボリューションのノウハウや歴史が入っています。つまり、いつかはトライトンエボリューションも夢ではないともいえるのです。
このように、これまでのパジェロをベースに作られたのがトライトンだということが分かります。あとはボディを乗せ換えるとパジェロの出来上がり、と簡単にはいかないとは思いますが、ベース自体はもうすでに出来ているということなのです。
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