高速代が「安くなる」のに「ETC 2.0」なぜ普及しない? 「普通のETC」よりメリットあっても“恩恵”感じない人が多いワケ

新バージョン「ETC 2.0」のメリット・デメリットとは?

 では、物流や運送に関連のないドライバーにとって、ETC 2.0はどのようなメリットがあるのでしょうか。

 まず、圏央道や東海環状道の特定区間では、普通のETCよりも割引率が高くなります。区間によっては約2割引きとなり、利用頻度が高い人には大きなメリットです。

 また、高速道路の走行時には車間距離に気を配る人もいるでしょう。

 ETC 2.0なら位置情報による運転支援で、合流地点や急カーブを事前に把握できます。事故多発エリアも通知してくれるため、通常より長めに車間距離を保つといった判断もしやすく安全運転をサポートしてくれます。

ETC2.0の車載器
ETC2.0の車載器

 さらには、リアルタイムで交通情報を把握できます。連動するカーナビを設置していれば、渋滞情報をもとに迂回ルートを検討するといった判断も容易です。

 ほかにも、休憩時には高速道路を一度降りることもできます。サービスエリアやパーキングエリアが不足している区間では、インターチェンジから2km以内にある道の駅を休憩施設として利用することが可能で、降りてから2時間以内に同インターチェンジから再進入すれば、降りずに走行した場合と同料金で算出されます。

 高速道路の追加料金を発生させずに道の駅を利用できるため、休憩がてら地域の特産品を楽しみたい方に最適です。

 このように一般のドライバーにもメリットがあるETC 2.0ですが、恩恵を感じない人が多い理由としていくつかのデメリットがあるのも事実です。

 すでにETCを搭載しているクルマを使用している人がETC 2.0へバージョンアップさせるには、機器の買い替えが必要です。また、新車購入時のオプションとして導入する場合でも、普通のETCより高価に設定されています。

 費用相場としては、普通のETCが1万円~1万5000円に対し、ETC 2.0は2万円~5万円です。またカーショップやディーラーなど購入先によっては、取付工賃が別途発生する場合もあります。

 導入費用を高速料金の割引分で賄えるとも考えられますが、割引が受けられるのは圏央道と東海環状道の特定区間のみと限定的です。

 今は、スマートフォンで道路情報にアクセスできる時代ですし、レジャーや観光時なら同乗者に情報収集を担当してもらうなど、ETC 2.0を利用せずとも快適なドライブが実現できるかもしれません。

 とはいえ、渋滞しやすいエリアを走行したり高速を降りて道の駅で休憩したりする頻度の高い人は、ETC 2.0の導入を検討する価値があるといえるでしょう。

※ ※ ※

 ETC 2.0は、2023年12月時点で導入率が約34%と普及率が低い状態です。

 ただ、ETC 2.0は圏央道や東海環状道の特定区間の割引が受けられます。また追加料金なしでサービスエリア近隣の道の駅が利用できるなど、一般ドライバーにもメリットがあります。

 レジャーや観光でも恩恵が受けられるので、導入を検討してはいかがでしょうか。

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