ホンダ「ヴェゼル」“納期問題”解消で売れ行きが急上昇!? 新たに投入する「格安SUV」は本当に必要なのか?
ほぼ同サイズの新型「WR-V」とのすみ分けは?
ホンダはヴェゼルとほぼ同じサイズのコンパクトSUVとして新型「WR-V」を2024年3月22日に発売します。
しかし、ヴェゼルに底力があることを考えると、新型WR-V投入前にヴェゼルのバリエーションを充実させる方法もあったでしょう。
現行ヴェゼルは、先代型では豊富に用意されたガソリン車をベーシックな「G」のみに整理して、ハイブリッドのe:HEVを中心としたグレード構成に変更。
これがヴェゼルの価格帯の上昇につながり、先代型のガソリン車のユーザーがトヨタ「ヤリスクロス」や「ライズ」に乗り替えるようになりました。
そこでいわば、先代ヴェゼルのガソリン車に代わる車種として、新型WR-Vを投入。新型WR-Vの価格は、一番安い「X」が209万8800円、中級の「Z」が234万9600円、上級の「Z+」が248万9300円に設定され、これは先代ヴェゼルに準じた価格帯です。
そもそも、現行ヴェゼルのガソリン車にも、e:HEVと同じく中級のZや上級のPLaYを設定していれば、ヴェゼルのユーザー離れは発生しなかったかも知れません。
ホンダの販売店では「ヴェゼルは今後、ガソリン車のGを廃止する可能性が高いです。残すとしても新型WR-Vに用意されない4WDのみでしょう」と言います。
ヴェゼルはe:HEV、WR-Vはガソリン車というようにパワートレインを車種で区分する戦略ですが、それは惜しいことだと思います。
都会的な雰囲気のヴェゼルと野性味が感じられるWR-Vの両方にガソリン車が設定され、好みに応じて選べるとユーザーにとって良心的でしょう。
トヨタも都会的な「ハリアー」と野性的な「RAV4」をそろえて成功させており、これはホンダのヴェゼルとWR-Vにも当てはまるのではないでしょうか。
Writer: 渡辺陽一郎
1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年務めた後、2001年にフリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向。「読者の皆さまに怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も重要なテーマと考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を得意とする。
WRVはインド生産から年間3000台と少量輸入されるもの。
ホンダのマーケティングとしては、不足するエントリー価格でのSUVモデルを保管する形で十分程度であって、仮に受注が多くてもWRVの年間販売台数は増やせない。
国内生産で足りない需要の穴を埋める逆輸入は、これまでも少量で行われてきたことで、国内販売60万後半台程度に後退したホンダに国内生産拡大の余力は無いし、物言う株主から利益率の向上と10%利益の確保という目標が有るので、選択と集中で国内市場向けに国内生産するモデルは更に限られるでしょうね。