トヨタの「最高級セダン」がスゴかった! 「クラウン超え」の超豪華な“新フラッグシップ”に「全世界」が震撼? 35年経過しても評価される理由とは
35年前に登場したトヨタ「セルシオ」は何がすごかったのでしょうか。改めて振り返ります。
35年前に登場した「セルシオ」 何がスゴかった?
トヨタのフラッグシップセダン「クラウン」のさらに上のモデルとして、1989年10月に日本国内での販売がスタートした「セルシオ」。販売開始されてから今年で35年となります。
のちに国内にも投入されることとなる、海外向け新規プレミアムブランド「レクサス」のフラッグシップモデル、レクサス「LS」としての顔も持ちます。
当時、日本はバブル景気の真っただ中ということもあり、比較的高額な車両も売れやすい環境ではあったとはいえ、セルシオの評価は国内外で非常に高かったのです。
欧州のプレミアムブランドでさえも、こぞってセルシオ(LS)を購入して隅々まで研究したという逸話も残っています。
そもそも、トヨタにはクラウンというフラッグシップモデルが存在していましたが、当時のクラウンでは上級モデルは5ナンバーサイズ(全幅1700mm未満)のボディをベースにワイド化を図ったものに過ぎませんでした。
その一方で、3ナンバー専用のワイドボディをまとって登場し、一大ムーブメントを巻き起こした日産「シーマ」が先行していたこともあって、新たな高級車としてリリースされる必要が生じたのです。
そんなセルシオ(LS)が日本はもとより、海外で高い評価を集めたのは、やはりなんといっても高い信頼性と品質、そして手厚いアフターフォローでした。
当時の海外での日本車の評価は「安価で信頼性が高いもののプレミアム性は低い」という評価が中心となっており、フラッグシップモデルについては欧州車が中心となっていました。
しかし、セルシオ(LS)は高い信頼性とライバルよりも安価な価格設定はそのままに、欧州のフラッグシップモデルを凌駕するような品質や安全性、そしてプレミアム性を持ったモデルに仕上がっていたのです。
特に静粛性や制震性については群を抜くもので、シャシーダイナモの上で加速するLSのボンネットにシャンパンタワーを設置しても一切倒れることがない、というパフォーマンスも話題を集めたのでした。
また、各部の組み上げの精度も非常に高く、ボディパネル同士のスキマ(チリ)も従来のモデルよりも圧倒的に狭かったことも、ライバルメーカーが驚愕するポイント。
こうした卓越した技術を採用したことで、セルシオ(LS)は高級車の基準をガラリと塗り替えてしまったといっても過言ではない仕上がりとなっていたのです。
このように他メーカーにも大きな影響を与えた初代セルシオ(LS)ですが、トヨタにとっても高い精度を要求される部品の生産や車両の組み立てを経験することで、トヨタ車全体のレベルアップにも繋がったと言われており、自動車業界全体に与えた影響も計り知れないものとなっていました。
なお、セルシオの名前は2005年8月に日本でもレクサスブランドが展開されたことに伴って、レクサスLSに統合されたことで消滅してしまいました。
しかし、今現在でも和の香りが漂う3代目までのセルシオにこだわって乗り続けるオーナーも少なくないようで、ユーザーに与える影響も大きなものがあったと言えそうです。
Writer: 小鮒康一
1979年5月22日生まれ、群馬県出身。某大手自動車関連企業を退社後になりゆきでフリーランスライターに転向という異色の経歴の持ち主。中古車販売店に勤務していた経験も活かし、国産旧車を中心にマニアックな視点での記事を得意とする。現行車へのチェックも欠かさず活動中。
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