ホンダが新型「スタイリッシュSUV」世界初公開! 今夏発売の「CR-V e:FCEV」は何が良い? “いいとこ取り技術”の特徴とは
新型「CR-V e:FCEV」を2024年2月28日が世界初公開しました。これまで日本未導入だった「CR-V」ですが、どのような形で登場するのでしょうか。
EVとFCEVを合わせたSUVが登場! その名も「CR-V e:FCEV」
ホンダは2024年夏に発売予定の新型「CR-V e:FCEV」を同年2月28日に世界初公開しました。
これまで日本未導入だった「CR-V」ですが、どのような形で登場するのでしょうか。
2021年4月23日、就任したばかりのホンダ・三部敏弘宏社長が、ホンダの目指す姿と取り組みの方向性について説明を行ないました。
注目は4輪の電動化戦略で「ZEVの販売比率を2040年にグローバルで100%」を目指すと発表。
ちなみにこの場で語った「ZEV」とは、BEV(電気自動車)だけでなくFCEV(燃料電池車)も含まれます。
そんなホンダのFCEVの開発は1990年代から行なわれ、1998年に初代オデッセイをベースにしたプロトタイプを開発しました。
その4年後の2002年に「FCX」を日米両国でリース販売をスタート。
2008年には世界初の量産FC専用設計車として一般販売を前提に開発された「FCXクラリティ」をリース発売しています。
更に2016年に同一プラットフォームでPHEV/BEVも用意される世界初のモデルとして「クラリティ FUEL CELL」をリース発売。
ただ、実際の所は実証実験+αレベルと言った印象で、「一般ユーザーの手に渡ったか?」と言われると疑問です。
「やはりホンダはBEVなのね?」と言われてしまう中、ホンキのFCEVが発表されました。
それが新型「CR-V e:FCEV」です。
このモデルを一言で説明すると「今、FCEVに求めるモノが全て盛り込まれている」でしょう。もう少し具体的に説明していきましょう。
1つは「ベースモデルがCR-V」である事です。
これまでFCEVはセダンが主でした。水素タンク搭載する上でパッケージ上の問題(タンクは車外配置)もあったでしょうが、それよりも「官公庁で使ってもらう=セダン」言う考えが強かったと思っています。
いくら「未来のパワートレイン」と言っても、皆が求めていないセダンがベースでは結果は明らかでしょう。今回ホンダはそこにメスを入れたわけです。
このCR-Vは2022年に発売された6代目で、日本初導入となるモデルとなります。
メインマーケットの北米はガソリン/ハイブリッド(e:HEV)、欧州/中国にはPHEVモデルもラインアップされていますが、日本はFCEVのみと言う戦略的なマーケティングとなります。
ちなみにエクステリアは先代のキープコンセプトながらもワイルドな印象のベース車に対して、FCEV専用フロントマスク(フロントオーバーハング+110mm)/クラッディングの同色化/クリアレンズ(リア)の変更などにより“知的”な印象に。
ややシボレーっぽさを感じ部分があるのが、今後グループ内への供給も視野に入っていると思うのは、考えすぎでしょうか。
ボディカラーはホワイトパールとグレーメタリックの2色ですが、欲を言えば、もう少し華やかな色(青以外)があっても良かったかなと思いました。
インテリアは横基調のクリーンなインパネデザインはベース車と同じですが、触感や質感にこだわった加飾に加えて、環境車らしくバイオ素材を用いたシート表皮などが採用されています。
個人的にはメーターは少々事務的で、もう少し“未来”を感じさせるデザインでも良かったかなと。
2つ目はFCEVとEVのいい所取りとなるパワートレイン「e:FCEV」です。
そのシステムの概念をざっくりと説明すると、CR-V PHEVをベースにエンジン/トランスミッション→FCスタック/PDU/ギアボックス、燃料タンク→水素タンクに変更。ただし、バッテリーはそのまま搭載されています。
FCスタックはGMと共同開発された新世代版で、従来のクラリティFUEL CELLと比べるとパワーユニット一体構造によるコンパクト化(ベース車と同じエンジンマウント使用可能/衝突安全性向上/NV性能アップ)、白金使用量(-80%)やセル数(-15%)の削減、量産効果なども相まってコストは1/3、耐久性は2倍になっているそうです。
水素タンクはリアシート下/リアタイヤ上部に2本搭載。そのためラゲッジに段差が生じていますが、フレキシブルボードを活用した2段構造へと変更。積載量はベース車より減少しているもリアルな使い勝手は逆にアップ。
そして、バッテリーは17.4kWで床下に搭載。ちなみに水素充填口は左リア(ガソリン給油口と同じ位置)、充電口は左フロントフェンダーに設けられています。
これによって、日常走行では60km以上走行可能なEVとして、中・長距離は1充填で600km以上走行可能なFCEVとして“マルチ”に活用できると言うわけです。
ドライブモードはFC電力/バッテリー電力を自動でマネージメントする「AUTO」が基本で、バッテリー残量を維持する「SAVE」、バッテリーを充電する「CHARGE」、そしてバッテリー電力を優先する「EV」の4つを用意。
逆を言えば場所によって水素インフラが少ない場所に行ったとしても、「水素欠に対する心配が減る」と言った使い方も可能でしょう。
当然、外部給電機能も用意されており、AC給電は専用コネクタ(Honda Power Supply Connecter:コンパクト&軽量でデザインもスマート)を介して、DC給電口はラゲッジルーム内に用意されています。
個人的には北米で発表されたモトコンポの現代版とも言える電動スクーター「モトコンパクト」をラゲッジに積み、水素給電で充電して走らせたら、楽しいでしょう。
ちなみにトヨタも活用する可搬型外部給電器(Honda Power Explorer)もラゲッジルーム内にシッカリ収納可能だそうです。
このように「e:FCEV」と「クロスオーバーSUV」の融合により、途端に“自分事”になりそうなCR-V e:FCEV。
価格や細かいスペックは現時点では未公表ですが、開発責任者の生駒浩一氏に聞くと、「かなり頑張りましたので、ご期待ください!」と。
もちろんそれなりの値段だと思いますが、補助金を上手に活用すれば意外と身近な存在になれるかも。
なお2024年2月28日から3月1日に開催される「H2 & FC EXPO【春】~第21回 【国際】水素・燃料電池展~」にて実車展示が行われます。
Writer: 山本シンヤ
自動車メーカー商品企画、チューニングメーカー開発を経て、自動車メディアの世界に転職。2013年に独立し、「造り手」と「使い手」の両方の想いを伝えるために「自動車研究家」を名乗って活動中。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。
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