日産「新型エルグランド」いつ出る!? 元祖“ド迫力”スタイル復活か? 次期「高級ミニバン」に最も期待したいこととは
日産のラージクラス高級ミニバン「エルグランド」は、現行型が登場して10数年が経過しており、フルモデルチェンジの噂も絶えません。次期型はどうあるべきなのでしょうか。
初代「エルグランド」の商品価値を最も正確に評価したのは「トヨタ」だった!?
トヨタが誇るラージサイズの高級ミニバン「アルファード」は、2023年6月に登場した4代目が先代と比べて100万円近く価格が上昇したにも関わらず、2024年1月度の新車販売ランキング(軽を除く)で7位にランクインし、月に6777台も販売するなど、超「爆売れ」モデルとなっています。
そんなアルファードが初代開発の際にベンチマークとしたのが、当時同クラスでトヨタを上回る販売実績を誇っていた日産の「エルグランド(初代)」でした。
日産のラージサイズ高級ミニバンであるエルグランドは、1997年に初代モデルが登場しました。
「大人数が快適に移動できる空間」というコンセプトで登場した初代エルグランドは、全長4740mm、全高1940mm、全幅1775mmという背高な立派なボディサイズで登場。
荷物を大量に積んでもトラクションがしっかりとかかるよう、後輪駆動をベースとしており、リアサスペンションにはマルチリンク式(コントロールロッド付5リンク式)を採用したことで、コーナリングと乗り心地を両立。
高性能なV型6気筒ガソリンエンジンのパワーと相まって、評論家やクルマ好きからは「走りのミニバン」と評価されたほか、ユーザーからもこれまでにないコンセプトが評価され、一躍人気モデルとなりました。
しかしこの「背高ミニバン」という初代エルグランドの商品価値(ウリ)をもっとも評価し、そのうえで「廉価な4気筒ガソリンエンジン仕様の設定がない」という初代エルグランドの欠点を補ってかたちにしたのが、2002年に対抗馬として登場した初代「アルファード」なのです。
加えて、初代エルグランド最大のセールスポイントを取り入れたアルファードは、その点を4代目となる現行型にいたるまでしっかりと継承し、今も人気モデルの座を維持しています。
ところが当のエルグランドはその後、最大のウリであるところの「背高ミニバン」という特徴をなぜか自ら捨てていきます。
エルグランドは2代目以降、初代のもうひとつの良さであった「走り」にこだわりを見出しました。
2代目でも後輪駆動と4WDは踏襲しながら、V35スカイラインや初代フーガにも採用した高性能なマルチリンクサスペンション(トーコントロールリンク付4リンクコイルスプリング式)を新開発。
2トンを超えるミニバンなのに、俊敏なハンドリングを実現させています。
そしてFFベースとなった3代目では、さらに走りにこだわるために低重心化を図り、全高は2代目の1910mmから1815mmへと一気に下げられました。
実はこのことが、現行型エルグランドの人気の失墜とともに、アルファード(と兄弟車の「ヴェルファイア」)が市場を独占していった最大の原因だったと筆者(吉川賢一)は考えています。
北米向けクエストと設計を共有する為に、市場のニーズと合わない背の低いFFプラットフォームにしたのに、当の北米市場は3列SUVが主流になりクエストは終売。レームダック状態な日本市場専売のエルグランドだけが取り残された状態。
一向にモデルチェンジしないのなら、いっそのことアライアンスの三菱からデリカをOEMで貰って来てVモーショングリルを付ければ、今のエルグランドよりも売れるミニバンになる気が。
現に、ディーラー店舗数が日産より一桁少ないはずの三菱のデリカの方が、エルグランドよりも台数が売れている訳で。