トヨタが「スゴい2人乗り仕様」実車展示! 美しいロングノーズの「ESV」がカッコいい!? 安全技術革新の1台とは
トヨタ「ESV」というクルマがかつて存在しました。一般販売されることはなかった幻の個体ですが、どのようなものなのでしょうか。
衝突時の乗員保護や緊急時の車両回避性能の向上などを目標に開発された「トヨタESV」とは
クルマは単に「走る・曲がる・止まる」だけを進化させれば良いわけではありません。
そこには乗員ならび周囲の安全や、環境問題に対する対策などの技術も日々進化しています。
そんな現代の技術の礎ともいえるクルマがトヨタ「ESV」です。
ESVは、トヨタが1973年6月に開発した実験車です。現在は、トヨタ産業技術記念館(愛知県)に実車が展示されています。
このESVとは、1970年代という急激なモータリゼーションにより、交通事故増加や環境汚染などのクルマによる社会問題に対応するクルマづくりがきっかけで誕生しました。
当時のアメリカ政府は実験安全車として「ESV(実験安全車、Experimental Safety Vehicle)」の開発計画を提唱していました。
同時にアメリカ政府は、日本政府や西ドイツ政府などにもESV開発の協力を求めます。
そこで米国が車両重量4000ポンド(約1800kg)、日本や西ドイツ政府などが2000ポンド(約900kg)のESVを開発することになりました。
日本政府は、ESVの日本仕様の開発を公募。目指す条件は「
時速80kmで衝突あるいは追突されても、乗員に加わるショックが生存可能な範囲内で、さらに生存空間を確保し乗員が車外に放出されないクルマの開発」でした。
そしてトヨタがESV開発に応募し、1971年2月から開発が始まります。
トヨタの開発部門や日本電装(現・デンソー)、アイシン精機などと協力し、1973年6月にESVを完成させました。
10台を日本政府に納入し、その後は日本ESV仕様に基づく性能試験が実施されたと言います。
なおトヨタのESVは、時速80kmで正面衝突した際の巨大なエネルギーを吸収するためにフロント部にS型フレームを採用。
さらにはクォーターピラーを垂直に近い形状とすることにより、追突された時の車室内への変形侵入量を極力小さくするなどの工夫が施されています。
また乗員拘束装置として、乗員がシートに座ると自動的にベルトが着用状態になるパッシブラップベルト。衝突を予知して格納されたバッグを膨らませ2次衝突による傷害を軽減するエアバッグ装置を併用。
ブレーキは前後輪ともディスクブレーキとESC(アンチスキッド装置)を併用するなど、それぞれに新規システムを開発しました。
なお1972年に開催された「第19回東京モーターショー」には「トヨタESV-2」を展示しました。
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これらの技術は現在の衝撃吸収ボディ/バンパーやシートベルト、エアバッグなど様々な安全技術に活かされています。
具体的には、1973年8月に登場した「コロナ(RT100型)」にはトヨタESVの思想と安全技術を多く採用しました。
美しくないしカッコよくもない
このリヤビューは、昭和の「コロナ」そのもの
フロントはセリカ
テールはコロナ
ノスタルジックトヨタの集合体!