レクサス「新型LBX」発売! 「ヤリスクロス」サイズの「小さな高級車」登場 “新カテゴリ”投入のねらいとは

レクサスが2023年12月下旬に発売した新型「LBX」は、コンパクトSUVが台頭する現在、どのような立ち位置のモデルとなっているのでしょうか。

数少ない「小さな高級SUV」カテゴリに参入

 2023年11月に登場したレクサス新型「LBX」。レクサスのラインナップの中でもエントリーモデルに位置するコンパクトSUVです。
 
 同じようなサイズ感のSUVは多くありますが、新型LBXのポジションや特徴はどのようなところにあるのでしょうか。コンパクトSUVがトレンドの昨今、立ち位置を改めて見てみましょう。

レクサス新型「LBX」 内装に評価の声
レクサス新型「LBX」 内装に評価の声

 新型LBXはTNGA-Bプラットフォームを採用しており、トヨタのコンパクトSUV「ヤリスクロス」などと共有しています。

 つまり、ものすごく大ざっぱに言ってしまえば「ヤリスクロスのレクサス版」ともいえますが、その車両価格は大きく異なっているのです。

 ヤリスクロスの上級グレードが4WDでも300万円を切る価格設定であるのに比べ、LBXは最も安いモデルでも460万円からという設定になっています。プラットフォームが同じことを考えると、かなり強気とも思える価格設定です。

 レクサスブランドから展開されるということもあり、高い価格設定になるのは確かですが、サイズ感を考えると驚く声もあることでしょう。

 では、レクサスバッジ以外にどのようなポイントが違うのでしょうか。

まず、内外装のデザインや各種快適装備などは、ヤリスクロスとの違いがひと目でわかるポイントで、実際に高品質さや豪華さなどで大きく差別化を図っています。

 しかしそうした見た目で分かる面ばかりではなく、LBXが「流石レクサス」と感じるポイントはメカニズム的な点にも表れており、象徴的なのがパワーユニットです。

 LBXはヤリスクロスからモーターそのものを変更していて、より上級クラスに位置する「カローラ」や「プリウス」用のモーターを搭載しています。

 フロントモーターは出力で14PS、トルクで44Nm向上させていて、4WDのE-Fourのリアも0.7PS出力を向上させているのです。

 バッテリーも、より効率が良く電池出力も高いバイポーラ型ニッケル水素電池を新採用しています。

 また、プラットフォームは同じでありながら、トレッドを最大で45mmワイドにして、ホイールベースも20mm伸ばされています。

 基本的なディメンション(寸法)を変更することで、旋回性能と直進安定性を向上させる方向性にしているのです。この辺りの変更はより高級車らしい乗り味を実現するのに大きく影響してきます。

 ボディ剛性も高められていて、防音・遮音材を増やしているため重量も100kgほど重たくなっていますが、その分高級感という部分ではヤリスクロスとは比にならないものになっています。

 このように細かなポイントを見てみると、基本的なメカニズムは大きく変更することはなくても、レクサスブランドだからこそ出来る、走りに関わる基本的な部分に手を加えて上手く高級感のある乗り味を実現しているのが新型LBXなのです。

 SUVはさまざまなボディタイプがあるなか現在のトレンドとなっており、多くの高級ブランドでも主力となった新モデルが数多く登場しています。

 しかし、実はまだ「小さな高級SUV」というジャンルは少ないのが現状です。新型LBXはそんな隙間を狙うレクサスの新たな市場開拓のチャレンジとも言えるでしょう。

 SUVがウケているのはアイポイントの高さから来る運転のしやすさや、リアシートと荷室空間の広さといった利便性の高さが主な理由です。コンパクトSUVは運転のしやすさという長所を更に伸ばす存在です。

 さらに、日本は言わずもがなですが、先進国は基本的に少子化の傾向にあります。そんな国々の、ある程度経済的に裕福な高齢層をターゲットにしたモデルを考えたとき、コンパクトで運転しやすく高級感もある「小さな高級SUV」というのは需要にガッチリとハマります。

 これまでの日本車の歴史を振り返れば、「小さな高級車」を標榜するモデルが出ては消え、という状態でしたが、新型LBXはこうした確実ともいえる需要を狙った車種なので、数年で不人気になるということはあまり考えられなさそうです。

 今後はさらに高齢ドライバーが増えていくことを考えると、新型LBXを始めとした小さな高級SUVはますますトレンドとなっていくのではないのでしょうか。

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