原付免許で運転可能! 125cc以下の「新基準原付」が作られた経緯は? 検討会の報告結果はいかに
今後、排気量125cc以下の二輪車についても一定の条件のもと、原動機付自転車に分類することを警察庁では検討しています。現在、排気量50cc以下の二輪車は道路交通法で「原動機付自転車」と定められていますが、見直しの背景にはどのような理由があるのでしょうか。
新基準原付の運転性能はいかに?
警察庁は最高出力を4kW以下に制御した総排気量125cc以下の「新基準原付」を原付免許で運転できるよう、車両区分の見直しを進める方針を示しています。
では、なぜこのような見直しがおこなわれるのでしょうか。
2023年12月21日、警察庁は二輪車の車両区分の見直しを議論する有識者検討会の報告書をまとめ、最高出力を4kW以下に制御した総排気量125cc以下のバイクを「新基準原付」として、一般的な原付と同じ車両区分および免許区分とする方針を示しています。
そもそも一般的な原付はガソリン車の場合、排気量が50cc以下の車両のことをいい、原付免許で運転できます。
さらに排気量50ccを超えて400cc以下は普通自動二輪車に分類されて普通二輪免許が必要となるほか、そのうち排気量50ccを超えて125cc以下のバイクのみを運転する場合は小型限定普通二輪免許が必要です。
また、排気量400ccを超えるバイクは大型自動二輪車として大型二輪免許の取得が必須です。
このように排気量50ccを超えて125cc以下のバイクは本来普通自動二輪車として扱われ、運転する際には普通二輪免許や小型限定普通二輪免許などを取得しなければいけません。
しかし警察庁が示す新基準原付は最高出力を制御することにより加速や制動といった運転性能が現行の原付と同程度であるため、車両区分を見直して原付とし、原付免許で運転できるようにする方針です。
では、一体なぜこのような車両区分の見直しをおこなうのでしょうか。その理由は、原付が新たな排出ガス規制をクリアできるようにするためです。
近年は大気の環境保護のため、国際基準を参考にしつつ車両の排出ガス規制が強化されています。
2025年(令和7年)11月からは、原付による一酸化炭素や窒素酸化物などの排出ガス規制値が厳しくなる予定ですが、現行の原付では技術的にこの規制値をクリアできないと見込まれています。
なぜなら、排出ガスを浄化するためにはマフラー内の「触媒」を約300度で上げる必要があるものの、排気量50ccのバイクでは触媒の温度が上がるまでに時間がかかり、浄化効果が出る前に排出ガスの規制値を超えてしまうためです。
その一方、排気量が125cc以下の小型二輪車であれば触媒の温度上昇にかかる時間が排気量50ccの場合と比べて3分の1程度に短縮され、排出ガスの規制値をクリアすることができます。
そのような排出ガス規制の事情により、排気量125cc以下のバイクであっても最高出力を制御すれば原付として区分できるように法律の見直しを求める声が各種関係団体から多く寄せられていました。
もし仮に排出ガス規制をクリアできるよう現行の原付を開発しても、開発費用に見合う事業の見通しが立たないこと。
原付の国内生産・販売の継続が難しくなることが問題視されていたため、車両区分の見直しはバイク製造関係者と利用者双方にとって最善の解決策だといえるでしょう。
今回公表された有識者検討会の報告書では、新基準原付について技能試験官による走行評価や一般の運転者による試乗会がおこなわれた結果、運転性能や運転のしやすさなどが現在の原付とほぼ同等であると判断されています。
そして検討会では、今後の方針として次のような結論が出されました。
・新基準原付を原付免許で運転できるよう車両区分の見直しをおこなうこと
・排気量50cc以上125cc以下の「小型自動二輪車」と新基準原付の見分けがつくように、外見上の識別性を確保すること
・最高出力の制御装置が不正に改造されないよう、特殊な構造にしたり電子的な制御と組み合わせたりして不正改造防止措置を講じること
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警察庁は新基準原付を現行の「原付」に区分し、原付免許で運転できるように法律の改正をおこなう方針です。
新基準原付の不正改造対策や、外観上の識別方法については今後詳細な議論がおこなわれる予定であり、その動向が注目されます。