トヨタが新「凄いハイラックス群」の実車公開! ガソリン・ディーゼルだけじゃない…!? 「選択肢を狭めない」ラインナップを提案! 乗って分かる違いとは
さらには身近なエコモデルとも言えるディーゼルハイブリッドはどんな感じ?
そして3台目は現実解の電動化モデル「ハイラックス・ディーゼルHEVコンセプト」です。
このモデルは12月4日にトヨタヨーロッパが2024年半ばに欧州市場向けに発売すると発表しています。こちらはBEV/FCEVとは異なりプライベートユースが主となります。
エクステリアは白/グリーンのボディカラー以外は発売中のモデルと大きな違いはありませんが、インテリアはフル液晶メーターとランクル250と同じ意匠のステアリングを装着。質実剛健なハイラックスのインパネとも上手くマッチしています。
パワートレインは2.8リッター直列4気筒ディーゼルターボ(1GD-FTV)にモータージェネレーターとDC-DCコンバーター、48Vリチウムイオンバッテリーを組み合わせたマイルドハイブリッドシステムをプラス。
加えてトランスミッションは現行モデルの6速ATから8速ATに変更されています。航続距離は1200kmと発表。トーイング能力はFCEVの倍以上となる3500kgです。
現行ハイラックスに搭載されるディーゼルはターボラグが大きいドッカンな特性なのと、ギア比がワイド過ぎてシフトアップ後のトルクの落ち込みが気になっていましたが、ディーゼルHEVはその辺りがほぼ解消。
モータージェネレーターは12kW/65Nmと出力はそれほど高くないので電動車感ありませんが、NA領域から過給までの不感帯を上手にアシストしてくれているようで、現行モデルのピーキーさは影を潜め、より自然、より滑らかな印象です。
加えて、エンジンの美味しい領域をキープしてくれる上に素早いシフト制御の8速ATにより、良くも悪くもワイルドだった特性が、ジェントルかつ質の高い特性に生まれ変わっています。
フットワークは大きな変更はありませんが、BEV/FCEVと同じく採用されたEPSがハンドリングの一体感/コントロール性に大きく貢献しています。
これなら乗用車から乗り換えても違和感なく乗れると思います。これは通常モデル(ガソリン/ディーゼル)にも水平展開すべきでしょう。
総じて言うと、どのパワートレインも完成度が高く、まさしく用途や地域、インフラの得意不得意などに合わせて使い分ければいいでしょう。
豊田会長が常日頃から語る「選択肢を狭めない」、「誰一人取り残さない」を実践したハイラックス群と言えるでしょう。
ただ、欲を言えば、この3台に加えて「ガソリン車+α」のパワートレインがあるといいなと。個人的に現在トヨタのラインアップにあるHEVとPHEV間をカバーする、「10-15km程度EV走行が可能な自家発電できるHEV」などはどうでしょうか。
PHEVよりアフォーダブルでプラティカルなBEV、ワークホースにもプライベートカーでも活用されるハイラックスにはいい選択肢かなと。
以前、CTOの中嶋裕樹副氏にトヨタの電動化戦略について聞くと、このように教えてくれました。
「現在議論しているのは『BEVを作ったらFCEVになるようにしましょう』と言う事です。
同じモーター/周辺部品で構成するが、水素で供給してほしい地域、ダイレクトに充電したほうがいい地域に合わせて2台開発することができます。
トヨタは新車領域で色々なパワートレインバリエーションを持っていますが、ベースが繋がっていませんでした。
しかし、今後は根っこが繋がっていれば、同じラインで何でも作れるようになります。
今は過渡期なので、何がどう変わるか我々も解りません。だから、マルチは大事なんです」
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そんなマルチパスウェイの最先端を行く電動車のハイラックスシリーズ。
個人的には「eハイラックス」と呼びたいなと。ちなみに現行モデルの登場から8年が経過しており、次期モデルの動向も気になる所。
先日タイで発表されたハイラックス・チャンプが「原点回帰」を行なった事を考えると、9代目ハイラックスは少し上級移行するのではないかと予想しています。
Writer: 山本シンヤ
自動車メーカー商品企画、チューニングメーカー開発を経て、自動車メディアの世界に転職。2013年に独立し、「造り手」と「使い手」の両方の想いを伝えるために「自動車研究家」を名乗って活動中。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。
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