整備工場へ車検を頼んだのに「違法」!? なぜ? 気をつけたい“代行業者”の落とし穴 安心して車検を通す方法とは

クルマの整備工場で「未認証行為」が横行している実態があるようです。一体どういうことなのでしょうか。

誰でも受けられる「ユーザー車検」未認証の工場での整備は法律違反?

 クルマのエンジンやドライブシャフト、プロペラシャフトの脱着、ブレーキパッドの交換といった装置の点検・整備(分解整備)は、国の認証を受けた工場でしかできないとされています。
 
 しかし、そんなクルマの整備で「未認証行為」と呼ばれる違反が横行しているとのウワサがあります。いったいどのようなものなのでしょうか。

ユーザー車検代行業者は「未認証工場」が多いってどういうこと?(イメージ)
ユーザー車検代行業者は「未認証工場」が多いってどういうこと?(イメージ)

 未認証行為について、神奈川県で整備工場の代表を務めるH整備士に聞いてみました。

「平成7年に道路交通法の改正によって、『ユーザー車検』ができるようになりました。これにより誰でも陸運支局にクルマを持ち込み、検査が受けられるようになったのですが、今まで認証工場しかできなかった整備・改造(分解整備)を、資格を持たない販売店などが代行して行い、車検を受けるケースがあるというのです」

 クルマを整備する「整備工場」は、国土交通省(実際は権限を譲渡された地方運輸局)で認可を受ける内容によって呼び名や業務内容が変わります。

 まず、「認証工場」とは、従業員総数に対して一定の割合で2級整備士がいること、指定された設備や備品が確保されていること。

 また、「原動機(エンジン)」「動力伝達装置(クラッチ関係)」「走行装置(プロペラシャフトやデフ、サスペンションなど)」「操縦装置(ステアリング関係)」「制動装置(ブレーキ関連)」「連結装置」といった装置を取り外し、整備・改造(分解整備)ができる整備工場です。

 ただし、この整備・改造(分解整備)はできても、車検では陸運支局にクルマを持っていき、改めてチェックを受ける必要があります。

 この認証工場に、工場内で車検の検査が実施できる設備や人員が配置されていると承認されるのが「指定工場」です。

 指定認定を受けると、工場内で検査員の有資格者が検査の合否を判定するので、あとは書類を提出するだけで車検が試験場の検査を免除されるのですが、認証や指定にはかなりの時間と設備費用が必要になることが多いと言われています。

 そして、ユーザー車検は、ユーザー自身で車検を通すことです。ユーザーが自己責任で整備し、車検を通すことは法律違反とならないのですが、整備・改造(分解整備)する認証を受けていないところでの整備は未認証行為となり、整備などにかかった料金を徴収してはいけないことになっているのです。

 それにも関わらず、実際は料金が発生しているのが問題だというわけです。

「カスタムショップなどで多いケースですが、厳密に言えば社外品パーツの取り付けも、認証工場や指定工場以外では請け負ってはいけないということになります。これはパーツが車検対応品であっても同様です。

 ただし罰金刑はあるものの、刑事罰には該当しないためグレーな状態が続いていて、依頼したからといってすぐに取り締まりの対象となるわけでありません。

 とはいえ、車両整備の不具合が原因で事故が発生しても、すべてユーザーの自己責任になってしまうのです」(H整備士)

 認証工場ではないショップなどに車検をお願いすると、車検前整備には分解作業も含まれるため、所有者以外の整備として「道路運送車両法違反」に当たる可能性があります。

 たとえば車検に非対応のパーツをつけたままで車検を合格させたい場合は「ユーザー車検代行」(未認証工場)を利用する気持ちもわかりますが、何かあったときに違法改造のレッテルを貼られることもあり、そういったリスクが常にあるということをユーザーは覚えておく必要がありそうです。

※ ※ ※

 現在のユーザー車検の代行業は約8割が未認証工場というのが実情です。

 認証工場または指定工場は、入口や建物の外側に「運輸局認証」と明記された黄色いプレートの有無で判断できます。

 ユーザー車検の代行業は、安価で難しい整備もなく、車検を取得できるのですから決して悪いとは言いませんが、高い設備投資をしてきちんと認可を受けている認証工場や指定工場を利用するのがもっとも安全な選択です。

 認証工場や指定工場は技術も設備も充実しており、安心して整備・改造(分解整備)を任せることができるでしょう。

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