トヨタが新しい「センチュリー」お披露目! セダンと違うボディの「最上級ショーファーカー」を展開 新モデルに込められた想いとは
トヨタは2023年12月5日に同社の田原工場(愛知県田原市)にて、「センチュリー決起集会(ラインオフ式典)」を行いました。
新しいセンチュリー、いざ誕生へ
2023年12月5日にトヨタは田原工場(愛知県田原市)にて、「センチュリー決起集会(ラインオフ式典)」を行いました。
セダンとは異なる新たな「センチュリー」は、どのようなクルマなのでしょうか。
トヨタにおける「最上級ショーファーカー」として、1967年に誕生したセンチュリー。
初代センチュリーは、「日本の伝統的な美」を取り込んだ品格のあるデザインと、圧倒的な静粛性・快適性を実現する「人中心」の思想を盛り込み、日本の技術の粋を結集して開発されました。
2018年に3代目となる現行センチュリー(セダン)が登場。2代目から21年ぶりのフルモデルチェンジとなり、それまでの5リッターV型12気筒のガソリン車から5リッターV型8気筒+モーターのハイブリッド車に刷新。
クルマ好きからは「V12廃止」に落胆する声が聞かれたものの、市場ニーズの高い環境性能に対応するショーファーカーとして登場しました。
また近年では移動時間をより有効に活用し、車内での休憩や、オンライン会議に参加するなど、ショーファーカーに対するニーズが多様化。
そうした状況を踏まえて新型センチュリーの開発チームは「これからもセンチュリーがお客様のご期待を超えたおもてなしをお届けしていくために、どうあるべきか」を徹底的に議論したと言います。
2023年9月6日に「これからの時代もお客様の期待にお応えし続ける」というコンセプトのもと、セダンとは異なる新型センチュリーが発表されました。
新型センチュリーでは、パワートレインを3.5リッターV型6気筒 +プラグインハイブリッドシステムを組み合わせた仕様となっています。
またセダンよりも室内空間が拡大されたことで、より「移動の快適性」を向上させ、新たなショーファーカーとなりました。
さらに新型センチュリーでは、ユーザーの要望を聞きながら、グローバルでフルオーダーに応するとしています。
実際にその一例として、前述の発表会では新しい「センチュリーGRMN」としてリンク式パワードアを採用したモデルがお披露目されています。
そして、12月5日には「センチュリー決起集会(ラインオフ式典)」が開催されました。
この式典では、トヨタ代表取締役会長・豊田章男氏が登壇し、次のように述べています。
「本日、新しいセンチュリーがラインオフいたします。関係の皆様、これまでのご苦労とご努力に心より感謝申し上げます。
センチュリーといえば、豊田章一郎名誉会長の愛車というのが私のイメージです。
名誉会長にとってセンチュリーはトヨタの代名詞であり、中村健也さん(初代センチュリー主査)と一緒に作り上げた特別なクルマでした。
名誉会長はどこに行くのもセンチュリーと一緒で、その後部座席で気付いたことをトヨタのエンジニアに事細かに伝えておられました。
名誉会長が生涯をかけて言い続けたものそれは、『常にお客様を思う心』、『クルマ作りに終わりのないというエンジニア魂』、そして『日本のものづくりへの自信と誇り、ジャパンフプライド』だったと思います。
その名誉会長が2023年に他界し、その年に新しいセンチュリーが誕生いたしました。
これは偶然ではないような気がしております。
名誉会長から『お前も会長になったんだから、センチュリーには興味がないなんて言ってはいかんぞ。マスタードライバーだけでなく、これからはマスターパッセンジャーもやるんだぞ』、そう言われているような気がしてなりません。
新しいセンチュリーは今から3年半前、新しいセンチュリーを作ってみないかという私の呼びかけから開発がスタートいたしました。
価値観が多様化する時代です。これからの世界を牽引する新しいリーダーに向けたセンチュリーがあってもいいのではないか、そう思ったわけです。
新しいセンチュリーは、仕入れ先や設備、輸送など『もっといいクルマづくり』づくりを支えいただいている、すべての仲間の誇りを胸に田原工場の皆さんが作るクルマです。
販売店の皆さん。センチュリーはお客様と共に作り上げるクルマです。お一人お一人にとってかけがえのない時代を。一緒に作ってまいりましょう。
今、世界が大変革の時代を迎える中で、日本はその存在感を失っているように思います。私は日本が大好きです。
だからこそモビリティの未来づくりの種(シード)を何としてもこの日本で育成したいそう思っております。
センチュリーはそのシードであり、日本が世界に誇るブランドです。未来に向けて羽ばたく。このセンチュリーの素晴らしさを世界に向けて発信してまいりましょう」
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なお新型センチュリーは田原工場にいる42名の匠によって生産されています。通常の量産車であればクルマの1作業工程あたり60秒ほどで行われますが、新型センチュリーでは1作業工程に5時間かけるなど、細かな作業をこだわり抜いて行っていると言います。
今回の式典後では、センチュリー専用の「磨き工程見学」も行われ、「素材の磨き」と「塗装の磨き」という2工程における匠の技が一部披露されました。
素材の磨きでは、同じ田原工場で生産されるレクサスのフラッグシップセダン「LS」が2回の磨き(ヤスリ600番、1000番)に対して、新型センチュリーでは3回の磨き(ヤスリ600番、1000番、2000番)となっています。
これは現時点での様々な要件で決められたものだと言い、担当者によれば「今後ユーザー様や様々な人達からの要望により回数は検討する可能性がある」と話すなど、進化は止めないようです。
またセンチュリー(セダン)はトヨタの元町工場で生産されていますが、そこでの技の継承を田原工場でも行っている他、良品廉価の観点から「磨きの時間を短縮し、熟年した人だけでなく、若年や女性でも出来るように進化しています(前出担当者)」と話すなど、センチュリーの「継承と進化」というDNAが活かされていると言います。
最後に豊田章男会長は「センチュリーはトヨタでもレクサスでもない、センチュリーはセンチュリーであるという、想いは強いです。量産トヨタ/量産レクサスとは違う、決して量を求めるクルマではないです。誰でも乗れるクルマではなく、選ばれた人が乗る。それほど特別なクルマです」と語っていました。