EVなのにMT搭載!? 新発想の「軽商用バン」世界初公開! 地方社会の未来を支えるジヤトコの「NV100 クリッパー」とは
2023年12月3日、トランスミッションメーカーのジヤトコは、MTを搭載した「NV100 クリッパー(以下NV100)」のEVモデルを世界初公開しました。どのようなモデルなのでしょうか。
EVなのにMT!? 「NV100 クリッパー」のコンバートモデルが世界初公開
2023年12月3日、富士スピードウェイでニスモフェスティバル2023が開催されました。ここでトランスミッションメーカーのジヤトコは、MTを搭載した軽商用バン「NV100 クリッパー(以下NV100)」のEVモデルを世界初公開しました。
NV100は、2003年に三菱「ミニキャブ」のOEM車として誕生した軽商用バン。2013年に登場した現行モデルとなる2代目からは、スズキ「エブリイ」のOEM車となっています。
今回世界初公開となったのは、5速MTを搭載したNV100のEVコンバートモデル。エンジンをモーターに置き換えたプロトタイプです。
同モデルの作製理由について、ジヤトコの担当者は以下のように説明します。
「今回、NV100のEVコンバートモデルの他にも、キャラバンパラメディック(救急車)や、キャラバンの変速機付きEVモデルを公開していますが、どれも作成した理由は同じです。
モーターでパワーを出そうとすれば、モーターの数を増やすか、大きくするしかありません。そしてモーターはレアメタルを多用しており、生産において地政学的リスクを大きく抱えています。
それに対して、トランスミッションを搭載すれば、少ない数のモーターで複数のモーターと同様のパワーを出すことができます。そしてトランスミッションに使用されている素材は、ほとんどが鉄です」
トランスミッションがあれば、EVの電費を改善させたり、多くのパワーを引き出すことが可能。モーターを多用したり、バッテリーを大型化したりするよりも、トランスミッションを組み合わせたほうが様々なリスクを減らせます。
さらに軽商用バンであるNV100をEV化した理由について、前出の担当者は以下のように続けます。
「地方受容性が大きく関係しています。人口が減ってくる過疎地においては、ガソリンスタンドも減少しています。そうするとガソリンを入れるためだけに30分移動しなくてはならないといった非効率な状況が発生してしまいます。
そんなときに、EVは電気さえ通っていれば充電できますので、自宅でも充電可能です。今まで慣れ親しんだ軽バンをすぐEVに変換できれば、今までと同様に使えるのです。
ここが結構重要で、今まで使っていたものとかけ離れた存在はなかなか受け入れてもらえませんが、自分が使い慣れたものであれば話は別です。
また、このクルマは60V以下におさえてあるのですが、故障したときも、直流48V・交流60Vまでなら特段資格も必要なく、町の修理工場でも修理可能です。大きなパワーを持つEVでは地方のディーラーでは受け入れられない可能性がありますが、このクルマであればどうにかなります」
つまり、EVコンバートモデルは、地域社会を支えるための仕組みでもあるということのようです。
では、実際NV100のEVコンバートモデルはどのような乗り味なのでしょうか。ニスモフェスティバル2023の前日に、メディア向け試乗会が開かれたので実際に乗ってみました。
運転した感じは、通常のクルマとほとんど差はありません。しかし、モーターのパワーバンドは非常に広いため、エンジン車と違い、どのタイミングでシフトチャンジしても必ず繋がります。
ただし前述の通り適切なギアを選択することで、より電費を向上させることができるといいます。
こちらも機会があれば長距離走行でその実力を試してみたいところです。
一方、エンジン音が無いため、どこでシフトチェンジしたら適切なのかが分からず、少し不思議な気分になります。
ですが、発進から最高速まで5速で走ることもできなくは無く、“エンスト”が存在しないというのは、MTならではのシフトチェンジをどんな人でも手軽に楽しめるということでもあります。
MT車に慣れ親しんでいるというわけではない、筆者でも楽しめるというEVに対する新たな可能性も感じることができました。
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ジヤトコとしては、NV100 に施したような“EVコンバート”に貢献していく仕組みづくりを今後検討していくといいます。どのような形で今後登場するのか、ジヤトコの今後に注目です。
最後の行、
>MT車に慣れ浸しんでいるというわけではない、
慣れ親しんで
このたびはご指摘をいただき、誠にありがとうございます。
修正いたしました。
JATCOがMTを開発しているとは驚きました。