なぜ教習所で「ポールを用いた縦列駐車」を教える? 公道には“ポール”ないのに… 路上では「あまり役立たない」教習が必要な理由とは
ポール以外にも「公道では遭遇しない」教習項目がある
同様に、教習所に設けられている狭いS字カーブやクランクも、実際の路上ではまずお目にかかることはありません。
これらの教習は、どのように役に立つものなのでしょうか。
「ここで学んだことを、実際の路上でもすり抜けや狭い路地での取り回しなどで応用して欲しいと考えて作られているんです。
決して教習生に嫌がらせしているわけではないのはご理解いただきたいですね」

ポール同様に、公道にないS字やクランクが設置されているのも、応用力として狭い道での車両感覚やステアリングの操作方法といった運転技術を身につけてもらうためなのだそうです。
そしてこの応用力を身につける教習項目がもうひとつあります。それが所内で行う「切り返し・方向転換」です。
前進と後進にステアリング操作を組み合わせることでバック駐車の基礎にもなりますし、実際の路上でもUターンの仕方にバリエーションが増えることになるといいます。
特に日本では、狭い商業施設の駐車場でもバック駐車が多いこともあり、何十年も必須とされている技能教習になっているのだそうです。
最近はバックカメラが装着されるクルマが増えていますが、後進は死角も多いですし、バックではステアリングがクルマの動きと相反するのを覚えるのは慣れが必要です。
こうした経験の積み重ねがもととなり、公道に出てさまざまな場面に遭遇した際に応用力として活きてくるのです。
※ ※ ※
必ずしも教習所で習う項目が、すべて公道で活きてくるというわけではなく、「指定時間で最短で免許を取得できる」ようなカリキュラムになっているため、内容によっては役に立たなかった、と感じることもあるかもしれません。
しかし、そこで学んだ基本的な技能が、公道に出た際に何事もなくスムーズに走れることにつながっているのを、改めて実感してみるといいかもしれません。
Writer: くるまのニュースライター 金田ケイスケ
2000年代から新車専門誌・輸入車専門誌編集部を経て独立。専門誌のみならずファッション誌や一般誌、WEB媒体にも寄稿。
中古車専門誌時代の人脈から、車両ごとの人気動向やメンテナンス情報まで幅広く網羅。また現在ではクルマに限らずバイクやエンタメまで幅広いジャンルで活躍中。
























































