なんで教えてくれないの? 「給油の方法」「パッシング」… 教習所で習わないドライバー間の「暗黙のルール」 指導しない理由とは

公道を走行すると、教習所では習わない暗黙のルールがあります。なぜ、教習では教えてくれないのでしょうか。

なんで教えてくれないの? ドライバー間の「暗黙のルール」

 公道を走行するうえで、法規だけでなく運転の常識や知識、マナーなどがいくつもあります。しかし、こうした「暗黙のルール」は教習所では一切教えてくれません。
 
 なぜ、一般ドライバーが当たり前のように行なっている常識やマナーを、教習所では教えてくれないのでしょうか。

なぜ教習で教えない ドライバー間の「暗黙ルール」
なぜ教習で教えない ドライバー間の「暗黙ルール」

 その代表的なものが給油の方法です。教習所では乗る前の安全確認はマストでしたが、給油に関しては、給油口すら開けることはありませんでした。

 特に最近はフルサービスのガソリンスタンドが減少する一方、セルフ式スタンドが増加しているなかで、どう給油すべきか戸惑ってあたふたした経験があるという人もいるかもしれません。

 これについて、東京都内の自動車教習所で指導員を勤めていたI氏は、以下のように話します。

「(なぜ給油方法を教えないかというと)答えは簡単で、自動車免許を取得できるほどの知識とスキルがあれば誰でも給油できるからです。それにほかの人の給油方法を見ていれば、やりかたはすぐに覚えられるはずだからです」

 しかし、給油口が左右どちらなのか、給油ホースとノズルの使いかたなど、もう少しレクチャーしてくれたほうがいいのではないでしょうか。

「そういった意味ではカリキュラムに含まれていないのは不親切とも言えますが、そもそも有人式(スタッフが常駐している)ガソリンスタンドしかなかった時代に教習内容ができているので、今の時代に合っていない部分はあるのかもしれません」(I氏)

 教習所の言い分としては、給油機は操作方法も明確で、音声や図によってやり方を明示してくれる点があります。

 給油ノズルも目一杯にぎれば、満タンになると自動ストップがかかるなど、操作がそれほど難しくないのも事実です。

 またセルフ式であっても、スタンドのスタッフを呼ぶインターホンが設けられていることもあるため、教習所でわざわざ教えなくてもいいという判断なのでしょう。

 では、ハザードの使いかたはどうでしょうか。合流時に後続車が譲ってくれた際に使う「サンキューハザード」など、路上に出てはじめて知った方も少なくないはずです。

「一応、教習所でも合流で道を譲ってもらったときは手を挙げる、2・3回ハザードを点滅させる方法は伝えたつもりです。

 しかし、そもそもハザードは『非常点滅表示灯』であり、あくまで非常事態を周囲に知らせるための装備なのです。

 逆にあまりに長いハザード点滅は、周囲に異常をアピールしている意味になりますし、交通違反とまではいかなくても後続車はびっくりするでしょう」

 正しい交通ルールを教えるという点では、ドライバーの習慣よりも、ハザードの本来の使い方を教えることのほうが正しいのかもしれません。

 また高速の合流で最近よく聞く「ファスナー合流」も習っていません。免許を取り立ての初心者でも、うまく合流できる方法を教えたほうがいいのではないでしょうか。

「この『ファスナー合流』は、高速道路の運営会社であるNEXCOが数年前から使い始めたワードで、ファスナーのように1台ごとにスムーズに合流しましょう、というスローガンのようなものです。

 教習所では『加速車線で十分に加速し、ウインカーを出しながら本線の流れを乱さないようにスムーズに合流』と教えています。

 ただ、必ずしも1台ごとに道を譲ってくれるドライバーばかりではないので、臨機応変に対応することも大切です」

 あくまでNEXCOが推奨する方法ということであるため、まず教習ではドライバーの譲り合いをもとにした合流方法ではなく、安全かつ確実に合流できるような指導方法をとっているようです。

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