730万円からのトヨタ新型「クラウン」発売! 再び「セダン」復活のワケは? 全長5m超えボディ&後席重視な「新しいセダン」とは
新生クラウン、クロスオーバー・スポーツ・エステートと異なるセダンの魅力とは
そんなセダンはパーソナルにもビジネスにも応える「ニューフォーマル」という新たな価値観に挑戦して開発。
クロスオーバー/スポーツ/エステートはFF横置きレイアウトの4WDのパッケージ(GA-K)を採用しますが、セダンのみFR縦置きレイアウト(GA-L)を採用するのが1番の特徴となっています。
エクステリアは「オーソドックスなセダンはつくりたくない」というデザイナーたちの思いを具体化。
水平基調&クーペライクなプロポーションにより、伸びやかで美しいたたずまいを実現しています。
フロント/リアのデザインは16代目共通のテイストを盛り込みながらも、存在感、煌びやかさ、そして未来感が高められています。
インテリアは他のクラウンと共通のインパネデザインながらも、大型の杢目調パネルや光物が多めの加飾、更にはコクピット感を高めるセンターコンソール周りなど、セダンらしいフォーマルさと高い質感を備えています。
ちなみに光のよる演出も行なわれ、全64色から選択可能です。
ただ、筆者的にはメーターくらいはセダン専用デザインを奢ってもよかったかなと思う部分も。
居住性において、絶対的な寸法はアルファード/ヴェルファイアにかなわないものの、3000mmのロングホイールベースを活かし、足元スぺースは広々なのはもちろん、乗降時の足抜きの良さなども抜かりなし。
ショーファーニーズに対応するために、リラクゼーション機能や電動サンシェードと言ったおもてなし装備も数々用意されています。
パワートレインは2種類設定。
ひとつはクラウン初となるFCEVです。基本的にはMIRAIと同じシステムを搭載していますが、モーター駆動ならではの滑らかな走りと静粛性と1充填で約820kmの航続距離を両立。
フォーマルユースで活用できるクラウンとの組み合わせにより、MIRAIではゲットできなかった官公庁や自治体などでの需要も賄えるはずです。
もうひとつはHEVモデルですが、直列4気筒2.5リッターエンジンに組み合わされるシステムは「THS II(シリーズパラレル式)」ながらも、有段ギア(4速AT)を組み合わせた「マルチステージハイブリッド」です。
4気筒との組み合わせは初となりますが、エンジン最高出力を使用できる速度域を下げる(約140→約43km/h)、高速走行時は回転数を抑える制御を新たに採用した事で、2.5リッターながらも強い動力性能と燃費性能、更に静粛性を両立させたそうです。
この辺りは実際に乗って判断したいと思いますが、他のクラウンとは異なるシステムというのは気になる所です。
フットワーク系はMIRAIをベースにするためプラットフォームはGA-Lが採用ですが、ホイールベースはMIRAIの2920mmに対して3000mmとロングホイールベース化されています。
サスペンションはもちろんクラウン専用セットアップ(AVS)で、路面の凹凸を伝えない乗り心地とどんな状況でもばね上はフラットに保つボディコントロールが特徴となっています。
走りの味付けは後席優先ではあるものの、基本素性の高いFRレイアウトに加えて現在トヨタ/レクサスのセダン最良と言ってもいいMIRAIの走りの実力考えると、筆者はドライバーズカーとしてのポテンシャルも高いと予想しています。
グレードはFCEV/HEV共に1タイプ(Z)のみで、価格はFCEVが830万円、HEVが730万となっています。
セダンから脱却したからこそ生まれた「新時代のセダン」と言える存在と言えるでしょう。
月販基準台数は600台と他のクラウンと比べるとかなり控えめですが、“良い”日本車セダンが減ってしまった現在、安定した需要はあると思っています。
そして、ロイヤルカスタマーから「やっぱり、クラウンはセダンだね」と言われる事を祈っています。
日本捨てた1890mmは二度と日本に来んな