「子どもの性被害」防止にアイシン&立命館大学&京都トヨタが協力! 自動車業界で取り組む「地域の安全安心マップ」とは

アイシン、立命館大学、京都トヨタ/GRガレージ京都伏見は、親子で地域の危険について学ぶイベントを開催しました。一体どのような取り組みなのでしょうか。

子どもが安全安心に暮らせるために自動車業界の取り組みとは?

 昨今、世間を賑わせているジャニーズ事務所の故・ジャニー喜多川氏による性加害のニュース。
 
 性被害というと、これまでは女性が受けるものとして扱われていましたが、ジャニー喜多川氏による少年たちへの性加害のニュースが英国BBCで取り上げられると一転し、社会は大きく動きました。

「地域の安全安心マップ」をつくるイベント
「地域の安全安心マップ」をつくるイベント

 女性で痴漢被害に遭った経験を持つ人は少なくないと思いますが、男性や子ども被害者になる可能性があります。性被害は大きな心の傷を残すことになるため、社会全体で弱者を守ることを考えていかなければなりません。

 しかし、これまで性被害の問題は被害者が声を上げにくく、タブー視されていました。だからこそ、親が子どもを見守るのはもちろん、子どもと大人、そして社会が一緒に安心と安全を考えることが必要です。

 そんな社会問題の解決に向けて、いち早く自動車業界で取り組んだのが大手自動車サプライヤーのアイシンと、京都の立命館大学です。両者は「人とモビリティの未来を拓く」をテーマに、誰もが安心して暮らせるモビリティ社会の実現に向けて、社会課題の解決を目指す共同研究を行っています。

 なかでも、立命館大学歴史都市防災研究所は、17年前から全国の小学生を対象にした「みんなでつくる 地域の安全安心マップコンテスト」を行い、交通安全をはじめ、防犯や災害など大きな意味での安全安心に向き合ってきました。

 経営学・地理学からの学術知見を持つ立命館大学と様々な技術を持つアイシンが、不測の事態に自ら備えるため、「子供の性被害」に産学官で取り組む「地域の安全安心マップ」をつくるイベントが、2023年8月8日に京都トヨタ/GRガレージ京都伏見で開催されました。

 参加者は一般公募で京都市近郊の小学校に通う小学3年生から6年生のお子さんを持つ10組の親子。京都トヨタの公式サイトなどで募ったところ、すぐに定員に達したとのことで、関心の高さがうかがえます。

 立命館大学歴史都市防災研究所 副所長/立命館大学 文学部准教授 花岡和聖氏によると、「街の様子は毎日変わるので、天気と同じ」なのだとか。

 熊本大学大学院 人文社会学研究所/立命館大学歴史都市防災研究所 客員研究員 米島万有子氏とともに、子どもにとって危険な場所をいろいろな角度から紹介。街の中で人が隠れて危険な場所や怪しい人の見分け方について、わかりやすく写真を使って具体的に見せることで、みなさん熱心に話を聞いていました。

 また、京都府警察本部で子どもの安全対策を担当する“おまわりさん”の宮越巡査による不審な人の見分け方も紹介。

 極端に距離が近い人や、あとをつけてきたり、じろじろ見てくる人は不審な人、そして安全な場所は無いということを強調しつつ、合言葉は「いかのおすし」だといいます。

「いか」:行かない。
「の」:怪しい人、不審な人の車、保護者の人以外のクルマには乗らない。
「お」:大きな声で助けを呼んだり、防犯ブザーなど大きな音が出るものを持つ(持たせる)。
「す」:少しでも怖いと思ったら、その場所からすぐに逃げる。
「し」:知らせる。怖いことや危ないことがあったら保護者に必ず知らせること。保護者以外にも「子ども110番」の緑色の看板を掲げている家や場所に知らせること。

 さらに、京都府警察 伏見警察署交通課の真柴巡査は写真や絵などを使って見え方、見られ方の違いなどを紹介しました。

 見るポイントが違うと、見え方が違ってくることを写真や絵などを使って説明。交通安全や犯罪の被害防止という目線で見ることを踏まえ、歩行者が右側通行をしなければならない理由のほか、道路の渡り方などをレクチャーすると、さすがは交通課に所属しているだけに、具体的な事例を交えながら子どもの心を上手に惹きつけていました。

 それにしても、「安全安心」という観点で考えると、性被害はもちろん交通安全や防犯などの面で「危険」な場所が街中にどれだけ多いのかということが、改めて認識させられました。

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