トヨタが全長5m超えの新型「クラウン」発売へ なぜ「正統派セダン」投入される? 揺るがない立ち位置とは

クラウンセダンは「中小企業経営者」からも絶大な支持?

 また、クラウンセダンには、歴代クラウンの需要を下支えしていた中小企業の経営者の受け皿になることも期待されているようです。

 日本には非常に多くの中小企業が存在している一方、その多くは大企業からの業務を下請けすることで利益を得ています。

 そうした構造から、十分な利益が出ていたとしても、見るからに高級なクルマで取引先へと乗り付けることははばかられると言います。

 ある中小企業の経営者は次のように話します。

「レクサスやドイツ系プレミアムブランドは、比較的安価なモデルであったとしても『いいクルマ』という印象を持たれてしまうので避けています。

 もちろん、乗っているクルマが理由で取り引きが停止することはないのですが、相手を不快にさせないようにする気遣いという意味で、一種のビジネスマナーのようなものだと思っています。

 とはいえ、社長があまりに安いクルマに乗っているのも見栄えが悪く、また社員の士気にも関わります。

 その点、クラウンは『中小企業の社長の乗るクルマ』というイメージが強いので、悪目立ちすることがありません」

2022年12月、2023年4月に開催された中国のモータショーでお披露目された「クラウンセダン」 中国でも高い関心が寄せられている
2022年12月、2023年4月に開催された中国のモータショーでお披露目された「クラウンセダン」 中国でも高い関心が寄せられている

 こうした「一種のビジネスマナー」も「クラウンのセダン」が必要であった理由のひとつと考えられます。

「一種のビジネスマナー」と上述した「フォーマルさ」に共通しているのは、どちらも社会的・文化的なものであるという点です。

 それは長い歴史のなかで培われてきたものであり、人々の感情の奥底に根付いているものであるため、良くも悪くも簡単に変えられるものではありません。

 もちろん、こうした傾向も将来的には変化していくと考えられますが、クラウンセダンについては、今後しばらくは堅実な需要があると言えそうです。

※ ※ ※

 クラウンセダンは、中国でも展開されることが確実視されています。

 中国では現在でもセダンが一定の需要があるとされていますが、中国のユーザーが「面子(メンツ)」を重んじることが大きな理由と言われています。

 それは日本でクラウンセダンがいまなお重宝されていることと良く似ています。

 そうした背景にくわえ、特に中国南部では日本車のブランド力が高いことを考えると、クラウンセダンは中国でも十分な勝機があると言えるかもしれません。

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Writer: PeacockBlue K.K. 瓜生洋明

自動車系インターネット・メディア、大手IT企業、外資系出版社を経て、2017年にPeacock Blue K.K./株式会社ピーコックブルーを創業。グローバルな視点にもとづくビジネスコラムから人文科学の知識を活かしたオリジナルコラムまで、その守備範囲は多岐にわたる。

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