なぜ「排気量エンブレム」激減? かつては「憧れの対象」も今や見かけぬ存在… 排気量や気筒数の主張がなくなった理由

いまや排気量&気筒数アピールは逆効果?

 さらに言えば、近年では「排気量マウント」を取ること自体が忌避される傾向があるようです。

 基本的に、エンジンの排気量や気筒数はクルマの格や価格に比例するため、大排気量かつ多気筒のクルマは富の象徴とされてきました。

 1980年代から1990年代に代表される、大量消費を是とする価値観が優勢だった時代にはこうしたクルマを保有することがひとつのステータスでした。

 一方、世界的に環境意識が高まっている昨今では、大排気量のクルマは時代に逆行した存在と考えるユーザーも増えていると言います。

 そうした時代においては、排気量の大きさではなく「エコ」であることをアピールするほうが消費者心理を刺激すると考えられるようになりました。

 その結果、環境性能の高いパワートレインを搭載していること、具体的にはBEVやPHEV、あるいはHEVであることをエンブレムによってアピールすることが増えているようです。

先代のトヨタ「アルファード/ヴェルファイア」のV型6気筒仕様には「V6」というエンブレムが付いていた
先代のトヨタ「アルファード/ヴェルファイア」のV型6気筒仕様には「V6」というエンブレムが付いていた

 ちなみに、BEV専業メーカーであるテスラでは、バッテリーの容量に由来するグレード名をエンブレムとして採用していた時期がありました。

 現在では廃止されていますが、今後電動化が進めば、バッテリー容量が新たな付加価値となることがあるのかもしれません。

※ ※ ※

 エンジンに由来するグレードやエンブレムが一般的であった時代でも、トヨタ「クラウン」では、そうしたグレードやエンブレムを採用していませんでした。

 そこには、「いつかはクラウン」を夢見てやっとの思いでクラウンを手に入れたにもかかわらず排気量によるヒエラルキーを感じてしまうことがないようにするという、ユーザーへの配慮があったようです。

【画像】「えっ…!」 日本車で1番凄いエンジンを持つのがトヨタのこのクルマです!(26枚)

参加無料!Amazonギフト券贈呈 自動車DXサミット BYD登壇 最新事例を紹介(外部リンク)

画像ギャラリー

Writer: PeacockBlue K.K. 瓜生洋明

自動車系インターネット・メディア、大手IT企業、外資系出版社を経て、2017年にPeacock Blue K.K./株式会社ピーコックブルーを創業。グローバルな視点にもとづくビジネスコラムから人文科学の知識を活かしたオリジナルコラムまで、その守備範囲は多岐にわたる。

1 2

実績500万人超!お得に車売却(外部リンク)

新車不足で人気沸騰!欲しい車を中古車で探す

【NEW】自動車カタログでスペック情報を見る

【2025年最新】自動車保険満足度ランキング

最新記事

メーカーからクルマをさがす

国産自動車メーカー

輸入自動車メーカー