トヨタが新型「センチュリー」世界初公開! なぜ「セダンと異なるモデル」誕生? 生みの親こと豊田章男会長にズバリ聞いてみた!
なぜセンチュリーSUVは誕生したのか? そこには生みの親の想いがあった!? 豊田章男氏に直接聞いてみた!
実はセンチュリーSUVの「生みの親」は豊田章男氏です。
トヨタの会長として、そしてマスタードライバーとしてこのクルマが誕生した経緯について語ってもらいました。
「私の中でのセンチュリーは『名誉会長(豊田章一郎氏)のクルマ』と言う認識です。
開発にも携わっていましたし、関東自動車での生産立ち上げの際には泊まり込みで行なっていました。
そんな想いがあるから、『自分が社長になってもセンチュリーは乗れないな』と言うのが、どこか頭の中にありました。
なので、3代目のフルモデルチェンジの時に開発陣に話を聞かれても『センチュリーは名誉会長(豊田章一郎氏)のクルマだから、通訳はしますよ』と伝えました。
そして、私に話を聞きたいなら、『僕が乗っていいセンチュリーを提案してください』と。
そのひとつがセンチュリーGRMNでした。会長になってから当たり前に乗っていますが、やはり心の奥には『セダンじゃないよね』と言う想いがあったのも事実です。
そこで『僕が乗れるセンチュリーって何?』と言う回答が、このモデルになります」
章男氏が「セダンじゃないよね」と語る背景は、社長時代に「アルファード/ヴェルファイア」に好んで乗っていた事からも分かります。
直近では黒のヴェルファイア(先代)のリアシートに座って移動する姿を何度も見かけていました。
そうした中でいまやアルファード/ヴェルファイアが高級ミニバンと言われるきっかけ、そしてセンチュリーSUVが今後歩む道について豊田章男氏は次のように語っています。
「僕は20年近くアルファード/ヴェルファイアに乗っていますが、最初の頃はホテルに乗り着けると『こっちではありませんよ』と言われるくらいの立場でした。
でも、今はショーファーカーの仲間入りができていますよね。
今回センチュリーSUVを出しましたが、いくらセンチュリーの名前でも、人気のSUVでも、すぐに認知されるほど甘い物ではないと思っています」
筆者(山本シンヤ)はアルファード/ヴェルファイアが高級車の仲間入りできた要因は、クルマの進化はもちろんですが、章男氏が使い続けたことで、『トップエグゼクティブが乗るクルマ』と言う市民権が得られたとも分析しています。
「アルファード/ヴェルファイアは市民権を得たので、僕の役目は終わり。
ただ、その一方で『人と同じでは嫌』と言う人も必ず出てくると思っています。
センチュリーSUVはそこを担います。もちろん、色々な批判も出てくるでしょうが、僕的には『この時スタートしたよね』と言うストーリーを作りたい」
章男氏は常日頃から「クルマが登場する時は、ゴールではなくスタート」と語っていますが、センチュリーSUVはまさにスタートラインに立ったと言うわけです。
「センチュリーで挑戦する人なんて、誰もいないでしょう。
最初は僕も『このクルマは挑戦できない』と思っていました。
ちなみにセンチュリーの最大の大口顧客はトヨタ自動車。かつて役員が乗るクルマはほぼセンチュリー。
ズラッと並ぶ景色は凄かったですが、今は残念ながら違います。
とは言え、センチュリーは『トップofトヨタ』ですので、これをリブランディングしてプロモートしてあげないと地盤沈下してしまいますからね」
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章男氏はマスタードライバーでもあります。
マスタードライバーは新車開発における最後のフィルターとしてチェックを行ない、OKがでないと世に出る事はありません。