シフトレバーに付いてた「O/Dボタン」なぜ消えた? いまや「謎のボタン」と思う人も… どんな意味があるのか
最近のクルマにはODボタンがないのはなぜ? CVTとは?
最近のクルマにオーバードライブスイッチが採用されない理由にシフトの多段化があげられます。
オーバードライブの導入が活発だったころは、AT車は4速もしくは5速あたりが中心のラインナップでした。
ところが多段化が進んだこともあり近年では8速が主流となって、クルマによっては10速オートマチック車も珍しくありません。
細かいギア比だけでなく電子制御で最適なギアを自動選択して走行可能になったこともあり、オーバードライブスイッチの必要性は減少したといえるでしょう。
ほかにも多段化されたAT車では、マニュアルモードでシフトチェンジできるクルマも増えてきました。
シフトパターンの「D」のとなりに「M」の文字があり、「+」や「ー」でシフトのアップダウンが可能です。
オーバードライブでは1速分のアップダウンが可能ですが、マニュアルモードなら好みのギアチェンジが容易といえるでしょう。
そして、もっともオーバードライブスイッチがなくなった理由が、CVT採用のモデルが増えたということです。
昔のCVTは、小排気量車がメインで耐久性にも問題がありましたが、近年のCVTはメーカーの開発努力もあって信頼性も上がって採用車種が増えてきました。
CVTは通常のトランスミッションと異なり、歯車を構成パーツに含まず、そのかわりに2つのプーリーとベルト (もしくはチェーン) を用いて変速を行います。
CVTの原理は自転車のギアチェンジに似ていて、駆動する側のプーリーが小さくなるほど加速力には優れますがスピードが出ない仕組みで、逆に駆動側のプーリーが大きくなるほど加速は劣りますが、スピードが出る仕組みです。
ただし、CVTにはギアの概念がなく無段階で変速できるので、オーバードライブスイッチが必要ないということになります。
万能といわれるCVTですが弱点もあって、高出力車や高速域では不向きという点があげられます。
ハイパワーや高速になるほど、金属ロスなどの伝達ミスが発生しやすくなるからです。
そのため、アウトバーンを走行するようなドイツ車や大排気量のクルマには、ほとんど採用されていません。
逆に国産車では、軽自動車をはじめ、コンパクトカーやミニバンにまで、多くのクルマに採用されはじめています。
理由は単純で、多段化が進むAT車に比べて、重量面やコストで有利だからです。
またエンジンパワーを効率よく伝達できるため、一般的なAT車よりも燃費面でも有利といえるでしょう。
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今後もCVTの採用やATの多段化が増える見込みで、ATのオーバードライブスイッチはなくなっていく方向へ向かうでしょう。
もし、オーバードライブスイッチのクルマを見かけたら、非常にレアなので活用してドライブを楽しんでみるといいかもしれません。
Writer: Peacock Blue K.K.
東京・渋谷を拠点とするオンライン・ニュース・エージェンシー。インターネット・ユーザーの興味関心をひくライトな記事を中心に、独自の取材ネットワークを活用した新車スクープ記事、ビジネスコラム、海外現地取材記事など、年間約5000本のコンテンツを配信中。2017年創業。











