S耐「菅生」はドラマがあった!? レースは「人の繋がり」で走れる! マシンは「CN燃料」が進化! GR86&BRZは何が変わった?
3時間耐久! 予選から決勝はどうだったのか
土曜日に行なわれた予選はA+Bドライバーの合算タイムで決まります。
GR86 CNFコンセプトは3分6秒46(A:加藤選手1分33秒990、B:山下選手1分32秒477※グループ2の中でもトップ)、BRZ CNFコンセプトは3分10秒360(A:廣田選手1分35秒887、B:山内選手1分34秒473※グループ2の中では5位)と富士に続いてGR86の勝ち。
ただ、どちらのマシンもプロとジェントルマンのタイム差が富士の時よりも少なく、「誰でも乗りやすいマシン」に近づいていることがわかります。
余談ですが、BRZ CNFコンセプトが修復時に交換し左フェンダーは赤色塗装でしたが、チームは白/青のガムテープを駆使しカラーリングを再現。近くで見ましたが「お見事」の一言。
日曜日の決勝はいつもより早い8時45分からのスタートです。今回は3時間の短い戦いのため、GR86 CNFコンセプトの佐々木栄輔選手、BRZ CNFコンセプトの伊藤和弘選手はドライブせず、両チーム共にドライバーは3人体制となります。
序盤はポールポジションのGR86 CNFコンセプトの独走でしたが、予選5位からスタートのBRZ CNFコンセプトがスタート直後から上位のST-4クラスのマシンを追い抜き2位へ上昇。
ここからガチンコバトルが続くかと思いきや、あっさり順位が入れ替わります。
その後もBRZ CNFコンセプトは2位とのギャップを広げ独走状態。一方、GR86 CNFコンセプトはコーナリングスピードの速さはあるも、加速のノリが悪いように感じました。
そして3時間後、BRZ CNFコンセプトは2位との差を1分10秒951の大差をつけてトップチェッカー。Team SDA Engineeringにとっては、まさに「地獄から天国」となったレースでした。
そしてレース後の総括です。まずはTeam SDA Engineeringの本井監督になります。
「実は決勝日までセットアップが決まらず、ドライバーも若いエンジニアたちも腹を割って本音で議論しました。
そんな中、若いエンジニアの叫びがチーム全体に火をつけ、その結果“流れ”がいい方向に向きました。
エンジンも『馬力は負けているけど、加速は負けていない』が証明できたかなと思っていいます。
今回、トヨタに勝てたことは素直に嬉しいですが、それ以上に大切なことをたくさん学んだレースでした。
第5戦(オートポリス)はスキップしますが、第6戦(もてぎ)では、よりコーナーを安定して且曲がるアイデアも投入予定です。
直線もコーナーも速いBRZ、ご期待ください」
続いてはGR86 CNFコンセプトの開発責任者・藤原氏です。
「金曜日にハーネストラブルでエンジン出力があまり出ていなかったです。
決勝になってからは、別の箇所と思われますが、おそらくハーネス不良で出力低下が発生していました。
ドライバーからも『走りません』というコメントで、そんな中『何とか走り切ってもらった』というのが正直な所です。
原因は調査中ですがアクセル操作に対して燃料が吹けていないので、ハーネス関係でしょう。
セットアップは非常に良い方向でしたが、空力バランスがリア寄りになってしまったのでバランスを取る必要はありますね。
ただ、今回のBRZは強いクルマに仕上がっていたと思います。
第5戦(オートポリス)は昨年リタイヤだったので、必ず完走して結果を出したいと思っています」
※ ※ ※
今回のガチンコ勝負はBRZ CNFコンセプトに軍配が上がりましたが、どちらの車両開発もギアが確実に噛み合い始めたような気がしました。
今回のレースを見て、「カーボンニュートラル燃料の進化」と「次期GR86/SUBARU BRZへの進化」が、今まで以上にステップアップしたような気がしています。
Writer: 山本シンヤ
自動車メーカー商品企画、チューニングメーカー開発を経て、自動車メディアの世界に転職。2013年に独立し、「造り手」と「使い手」の両方の想いを伝えるために「自動車研究家」を名乗って活動中。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。
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