もし「踏切で立ち往生」したらどうするべき!? 事故を防ぐためにドライバーが「覚えておく」べきこととは

踏切で万が一クルマが止まってしまった場合、ドライバーはどうすれば良いのでしょう。踏切に設置されている「非常ボタン」について紹介します。

列車は急には止まれない! まず「非常ボタン」を押すべし

 鉄道の踏切を通過する際には、一部の例外を除き、クルマは直前で一時停止し安全確認することが、道路交通法で定められています。
 
 ところがクルマの立ち往生を原因とする踏切事故は、依然として発生しています。もし遭遇した場合は、どのように対処すれば良いのでしょうか。

多くの踏切には緊急時の「非常ボタン」が備わっています[画像はイメージです]
多くの踏切には緊急時の「非常ボタン」が備わっています[画像はイメージです]

 道路と鉄道の線路が交差する地点には、踏切が設置されています。

 警報機だけの第3種、踏切警標だけの第4種など、踏切にはいくつかの種類がありますが、都市部や主要道路との交差地点ではほぼ全てが、自動遮断機が設置されたり、踏切保安員が配置される第1種踏切となっています。

 朝夕に列車が多く行き交う時間帯などは、踏切で慢性的な渋滞が発生することから、近年は都市部を中心に立体交差化を実施するケースが増えていますが、対応はまだまだ十分とはいえず、今も日本中に踏切があるのが現状です。

 内閣府が発行した「令和4年交通安全白書」によると、立体交差化などの整備などにより、踏切事故は長期的にみると減少傾向にあるといいます。

 ただし2021年に発生した踏切事故は225件で前年比30.1%増、死者数は94人にのぼり、前年比23.7%増で、依然としてなくなることはありません。

 そんな踏切を通過する際、もし遮断機が下りてしまった場合にはどう対応したら良いのでしょうか。

 多くの踏切には、クルマがエンストし停止した場合などの緊急対応として「非常ボタン」が設置されています。

 ボタンを押すことで前後の線路上に特殊な信号が発光され、接近する列車に異常を知らせるものです。

 JR西日本では非常ボタンの重要性について、自社の公式ウェブサイト上で次のように説明します。

「非常ボタンを押すと、列車の運転士に危険を知らせることができます。

 ただ、警報機が鳴り始めて約30秒で列車がやってきますので、なるべく早い段階でためらわずに非常ボタンを押すことが重要です」

 同社によると、警報機が鳴り始めてから約30秒、遮断棒が降りてから約15秒で列車がやってくるとし、もし列車が非常ブレーキを使っても、約600メートル近くは止まれないといいます。

 また同ページでは、踏切内に閉じ込められたクルマなどを見かけた際、救助に向かうべきかどうかについても記しています。

「直接救助に向かうのは危険ですので、絶対におやめ下さい。

 非常ボタンを押して、なるべく早く列車の運転士にお知らせいただきますよう、よろしくお願いします」

 ドライバーや同乗者はすみやかに安全な場所に退避するとともに、迷わず非常ボタンを押すことが重要ということです。

 各踏切には、踏切名や連絡先などが記載されています。

 非常ボタンを押した場合には、必ず鉄道の管理者への連絡を忘れずに行いましょう。

 なお各鉄道会社では、主要な道路が交差する踏切などを中心に「踏切障害物検知装置」の設置を進めています。

 遮断機が降りている時にクルマなどの障害物を検知した場合には、非常ボタンを押したときと同様に特殊な信号が発光される仕組みです。

 このほかにも警報機を遠くからでも視認できるようにするなど、事故を未然に防ぐ工夫が各社で行われています。

※ ※ ※

 遮断機の棒は、クルマをゆっくり進めることで押し上げることができます。

 何らかの理由で踏切内に閉じ込められた場合など、万が一の緊急対応として覚えておくといいでしょう。

 その際にも、鉄道の管理者への連絡を行う必要があります。

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