EVトラック「eCANTER」フルモデルチェンジ! 最大航続距離は324㎞まで拡大!? 従来車との違いを実体験してみた!

バイト時代は2t車乗りだった筆者が感じた、快適過ぎる走り

 試乗会では3種類の「eCANTER」を乗り比べることができました。

 それぞれは搭載バッテリーが「Sサイズ」「Mサイズ」、「Lサイズ」と異なり、シャシの大きさもそれに比例して大きくなっています。

 用意されたテストコースは、傾斜率10-20%の長い坂道を上り下りし、平地部分は緩やかなカーブでコーナリングを体験。これをサーキットコース風に2周ほど走らせて貰いました。

 筆者はライター・カメラマン業をする以前に、エアコン屋で配送のアルバイトをしていた経験があります。

 その時に運転していたのはCANTERクラスの5tトラックを運転していました。運行は住宅地にある店舗と倉庫の短い往復で、小型トラックが活躍する典型例ともいえる職場でした。

 そんな小型トラックに乗り慣れた筆者にとってeCANTERの第1印象はスムーズな発進と加速でした。EV車の特徴で一番に上げられるのは電動モーターによる静かさですが、貨物輸送の場合は積み荷への影響から振動の少なさも重要となります。

 驚いたことに、車体重量・サイズが異なるどのモデルでも、運転感覚には大きな違うはありませんでした。

 最初は「空荷だから?」と筆者と怪しみましたが、どのトラックも業務運搬を想定して相当量のウェイトを搭載していたそうです。EVのスムーズな駆動は、ドライバーだけでなく貨物にも優しいようです。

gaso三種類の異なるモデルによる隊列走行。これまでのモデルと違って、28型式とラインナップは多彩で、オーナーの選択肢が増えたのが特徴
gaso三種類の異なるモデルによる隊列走行。これまでのモデルと違って、28型式とラインナップは多彩で、オーナーの選択肢が増えたのが特徴

 もう一つ驚かされたのが、強力な回生ブレーキです。これは従来のディーゼル車でいうところのエンジンブレーキに当たるものですが、EV車の場合は車軸に抵抗を加えてブレーキ力と電気の発電にそれを利用します。

 eCANTERのこれまでのモデルにも回生ブレーキは装備されていましたが、新しいモデルでは従来の倍の4段階の回生ブレーキを装備。これは従来の2段階の上により強力な回生ブレーキを追加した形となっており、最上位ではフットブレーキのような効き具合を発揮してくれます。

 これにより、トラックの減速と徐行をシフトレバーとアクセルペダルの操作だけで行うことができ、不要なブレーキ操作によるエネルギーロスと、ドライバーへの運転時の疲労軽減に繋がっています。

 都市部の運転で当たり前のように繰り返す加減速。そのほとんどをアクセルペダルの操作で対応できるのは、元トラックドライバーとしては本当に便利だと感じました。

 EVは環境への配慮や、運用コストの削減は一番に注目されます。しかし、短い試運転でしたが、筆者としてはeCANTERの新しい技術に小さな感動を覚え、昔を思い出しながらも楽しませてもらいました。

「eCANTER」の5種類のモデルが整列。シャシだけでなく、キャブも横幅が異なる3種類が用意されている
「eCANTER」の5種類のモデルが整列。シャシだけでなく、キャブも横幅が異なる3種類が用意されている

 最後に、試乗会で商品説明を行ってくれた三菱ふそうトラック・バス株式会社のセグメント戦略部マネージャーの田中宏長氏は、業界全体の電動化を見据えて次のように話していました。

「弊社の『eCANTER』は最初の発売から5年間の歳月が経っていますが、これまではEVとお試し的に使われているお客様も多かったと思います。

 これからは、弊社も含めて他社様もラインナップも増えていくので、この『eCANTER』が業界全体の電動化の波の一条になればと思っています」

※ ※ ※

 確実に迫ってくるトラックのEV化の波を前に、業務車としても実益のあるEV車輌が増えていくことに期待したいです。

【画像】トラックもEV化が進んでいる? 注目の「eCANTER」を見る!(31枚)

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Writer: 布留川 司

雑誌編集者を経て現在はフリーのライター・カメラマンとして活躍。最近のおもな活動は国内外の軍事関係で、海外軍事系イベントや国内の自衛隊を精力的に取材。雑誌への記事寄稿やDVDでドキュメンタリー映像作品を発表している。

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