警察はどう思ってる? 全国各地に点在する「悪質なご当地ルール」はどんな違反になるのか
各地に点在する「ご当地ルール」だが…警察はどう思っているのか?
そのほか、ご当地ルールとしては長野県の「松本走り」、岡山県の「岡山ルール」などもたびたび聞かれます。
なお長野県松本市の広報誌では松本走りの特徴として「対向車がいるのに強引に右折」や「左折車にかぶせるように右折」、「前が詰まっていても交差点に進入」などの運転方法が紹介されていました。
実は、前にクルマが詰まっているのに交差点に進入することも交通違反に当たる可能性があります。
道路交通法第50条第1項では、前方の交通が混雑しているため交差点内で停止することとなり、それにより交差道路のクルマの通行を妨害するおそれがあるときには交差点に入ってはならないと規定されており、「交差点等進入禁止違反」が成立する場合もあるのです。
岡山県の岡山ルールでは「右左折の際にウィンカーを直前にしか出さない」という独自ルールが有名であり、こちらも場合によっては合図不履行の違反とみなされることがあります。

では、このようにご当地ルールが常態化していることに対し、地元警察ではどのように感じているのでしょうか。
基本的に警察では、ご当地ルールをれっきとした交通違反として検挙する方針の場合がほとんどです。
茨城県警の公式Twitterでは「茨城ダッシュは違反です」と交通違反の具体例をあげて注意喚起をしているほか、愛媛県警でも「伊予の早曲がり」に対して交差点の重点的な取り締まりをおこなっています。
ただし、ご当地ルールにはその土地の道路事情や住民の習慣などの要因が絡み合って生まれたものも多く、警察ではその地域に根付いているルールを正す難しさを実感しているといえるでしょう。
ご当地ルールは他県から訪れた人に悪い印象を与えるだけでなく、不名誉な称号であるため地元住民から取り締まりを求める声が多く寄せられており、今後も警察による取り締まりが続くと予想されます。
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ご当地ルールは多くの場合交通違反であり、警察でも取り締まりがおこなわれています。
これらのルールをなくすためには警察による取り締まりの強化はもちろん、ドライバー自身が交通違反であると認識することも重要です。
Writer: 元警察官はる
2022年4月からウェブライターとして活動を開始。元警察官の経歴を活かし、ニュースで話題となっている交通事件や交通違反、運転免許制度に関する解説など、法律・安全分野の記事を中心に執筆しています。難しい法律や制度をやさしく伝え、読者にとって分かりやすい記事の執筆を心がけています。

















