トヨタの新型ミニバン「ノア」なぜ躍進?「ヴォクシー」はデザイン攻めすぎた!? 立場が逆転したワケとは
2022年1月に全面刷新したトヨタ「ノア」と「ヴォクシー」。それまではヴォクシーのほうが販売台数が多かったのですが、新型になってノアのほうが多く売れています。形勢逆転にはどのような背景があるのでしょうか。
全面刷新から1年 新型ノアヴォクの販売状況は?
トヨタの人気ミニバンとして長年販売されている「ノア」と「ヴォクシー」は2022年1月にフルモデルチェンジし、4代目へと生まれ変わりました。
これまで販売上優位といえたのはヴォクシーでしたが、発売から約1年が経過した現在、登録台数はノアのほうが多くなっています。
フルモデルチェンジ前の2021年の実績は、ノアが4万4211台、ヴォクシーが7万85台だったのに対し、フルモデルチェンジ後の2022年はノアが5万7696台、ヴォクシーが5万5545台と僅差ではあるもののノアが逆転。新型ノアとヴォクシー(ノアヴォク)に何があったのでしょうか。
新型ノアヴォクは新世代プラットホームの導入や充実した運転支援システムなどを採用。先代モデルは8年ほど販売されていたため古さが隠せない部分もありましたが、今回フルモデルチェンジでライバルよりも一歩先を行く魅力的なモデルになりました。
発表時にいろいろと話題になった新型ノアヴォクですが、その話題の1つに新型ヴォクシーのデザインがありました。デザインが攻めすぎていてアクが強いという意見で、先鋭かつ独創的を追求したスタイルは賛否両論を生んでいたのです。
両車のメカニズムや装備、価格はほぼ同じですので、台数の結果だけを見てみると、新型ヴォクシーのデザインが受け入れられなくなったようにも思えますが、販売現場の声を聞いてみるとそうではないようです。
トヨタディーラーの販売スタッフに「新型ヴォクシーのデザインは受け入れられていないのか?」という疑問をぶつけると「そんなことはない」と回答が返ってきました。
確かに当初は賛否両論あったものの今となっては見慣れてきたこともあり、デザインがマイナスポイントとなって新型ヴォクシーを選択肢から外すユーザーはあまりいないそうです。
むしろ、新型になってノアのデザインが良くなり、こちらを選ぶユーザーが増えている傾向にあるといいます。
新型ノアにはプレーンなフロントフェイスの標準モデルとメッキグリルと専用バンパーを装着するエアロモデルが用意されています。ロー&ワイドなスタンスを際立たせたノアのエアロモデルは、これまでヴォクシーを好んでいたユーザーにとって選択肢に含まれているということでしょう。
これまでのヴォクシーに近いエアロスタイルを新型ノアで選べるようになったことが、躍進の大きな理由といえるはずです。
また、グレード展開も新型ノアが選ばれる理由の1つとなっているようです。
新型ノアには廉価グレードのようなエントリーグレードも用意されているのに対して、新型ヴォクシーは上級グレードを基本としたグレード展開となり、パワートレインの違いなどあるものの、装備内容だけでいえば基本的には「S-Z」と「S-G」の2グレードのみです。
法人から個人まで、幅広いユーザーに対応可能な新型ノアのグレード展開が、ノアが台数を増やしたもう1つの理由といえそうです。
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新型ノアが新型ヴォクシーの販売台数を上回ったという点だけで見てしまうと、新型ヴォクシーの評判があまり良くないと思ってしまうかもしれませんが、真の理由は「ノアが万人受けするようにデザインとグレードに選択肢の幅を広げたから」と表現するのが正しいでしょう。
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