パイオニアが「オールインワン車載器」を謳う「NP1」は、音声で操作し案内してくれる「スマート音声ナビ」をはじめ、「次世代通信クラウド型ドライブレコーダー」「クルマWi-Fi」など様々な機能をあわせ持ち、クルマを運転するうえでのあらゆるシーンにおいてドライバーをサポートしてくれるという商品です。

　その特長のひとつが「OTA（Over the Air）」と称する、通信を介した継続的な新機能の追加（大型アップデート）で、2022年3月の発売以来、アマゾン「アレクサ」への対応など3回、実施されてきました。そのほか、案内の精度向上、音声認識精度の向上などといった比較的小さめのアップデートも随時、行われています。

　そして4回目のOTAが、2023年2月27日から実施されます。今回のOTAは、飲食や旅行業界との情報連携により、お出かけスポットの提案のほか、飲食店の混雑状況やキャンペーン情報などをリアルタイムに提供してくれるサービスを追加するというものです。

　そのひとつが、JTBパブリッシングが提供する観光情報データベース「るるぶDATA」の、全国4万件以上の観光情報との連携で、ドライバーの好みや季節、周辺イベントなどを反映してお出かけスポットをレコメンドしてくれます。

　また、アクトインディ（東京都港区）が提供する、子どもとのお出かけ情報を扱うインターネットサービス「いこーよ」との連携では、全国9万件以上の施設情報から、半径1.5km圏内の人気施設を案内してくれます。

　さらに回転寿司チェーン「スシロー」を展開するあきんどスシローとの連携では、自車位置と連動した近隣の店舗情報だけでなく、その店舗におけるリアルタイムの混雑状況（待ち時間）やキャンペーン情報などをNP1の案内で確認できようになりました。

　その実際のアップデートの内容を、事前に体験することができました。

　取材したのは平日のお昼過ぎ、早速「スシロー」の連携機能をトライしてみます。

　NP1に「スシローへ行きたい」と話しかけると、現在地から近いスシロー3店舗の場所と距離にあわせて、それぞれ30分待ち、5分待ちなどと、その時点におけるそれぞれの店舗での待ち時間も音声で案内してくれました。ここまで実際に運転しながら、音声のみのやり取りで確認できます。

　また「るるぶDATA」や「いこーよ」との連携機能により、経路中にあるお店の情報などが差し込みで入ってきます。音声での解説とあわせ、本体と連携させたスマートフォン専用アプリ「My NP1」に画像が差し込まれ、「ここのソーダフロートが美味しそう！」「この塩饅頭が有名なんだなぁ」などと、普段よく走る道でも新たな発見が多くありました。この機能があれば、たとえば旅行中の知らない土地であっても、立ち寄る価値のあるかもしれないお店との遭遇率がアップしそうです。

　案内されたスポットは「My NP1」の履歴に表示され、そこからたとえば「いこーよ」のウェブサイトにアクセスすると、施設の詳細、口コミ、クーポンなどの情報を確認できます。またそこからルート案内へも遷移できるなど、導線はスムーズなものです。

　2022年12月に実装された、「マイカーウォッチ（遠隔監視）」機能も体験することができました。これはNP1に搭載されているクラウド型ドライブレコーダーに、3回目のOTAで新たに追加された機能です。

　この機能は、駐車中に振動など異常を検知すると、NP1からアプリで連携したスマートフォンへ通知が届き、前方カメラ、車内カメラのリアルタイム映像が閲覧できるというものです。またクルマの位置や動いている速度をアプリ上の地図に表示し、さらにNP1であらかじめ設定しておいた音声による警告を発することもできます。

　実際に「怪しい人間」を装って体験してみましたが、盗難などでクルマを奪われてしまった場合でも、NP1と連携したスマートフォン上で車内の映像を確認することができ、どのような人間にどんな状況でクルマが運転されているのかしっかりと確認することができました。また、NP1からの警告音声はかなり大きいもので、実際に盗難に遭遇した場合の威嚇には効果を発揮しそうです。

　最初にもふれましたが、このようにNP1は、購入後もアップデートにより継続的に新機能を追加されることが大きな特長のひとつとなっています。今後もさらなる機能拡充が企図されるものと見られます。