今話題!? 首都高“謎名所”「辰巳ジャンプ台」なぜ危険に? “ジャンプ”がクルマに与える“深刻”な影響とは

首都高9号深川線にある首都高速上の辰巳パーキングエリア造られた約10cmの段差が話題です。SNSなどでは「辰巳ジャンプ台」と呼ばれていますが、クルマにどのような影響があるのでしょうか。

話題の「辰巳ジャンプ」って何?

 2023年1月中旬、首都高9号深川線にある首都高速上の辰巳パーキングエリアの出口に、パーキングエリア内での暴走行為を防ぐために約10cmの段差が設置されました。

 SNSなどでは「辰巳ジャンプ台」と呼ばれ、勢いよく段差に乗り上げ“ジャンプ”するクルマの動画も話題ですが、こうした行為はクルマに対しどのような悪影響を及ぼすのでしょうか。自動車整備士が解説します。

辰巳PAに設置された危険行為を防止するための段差、通称「辰巳ジャンプ台」
辰巳PAに設置された危険行為を防止するための段差、通称「辰巳ジャンプ台」

 SNSやニュースなどで度々話題になっている通称「辰巳ジャンプ台」は、そもそもパーキングエリア内でエンジン音や強力な加速力を見せびらかす目的などでおこなう異常な加速「辰巳ダッシュ」などを防止するために設けられたものです。

 辰巳ジャンプ台の本来の目的について、警視庁高速道路交通警察隊と首都高速道路は、以下のようにコメントしています。

「本PAは、ルーレット族などによる悪質な暴走行為や迷惑行為に対して、お客さまの安全な交通の確保と沿道にお住まいの皆さまへの騒音対策の観点から辰巳PA内の速度を抑制する方法として、路面に凸部を設けています」

 ルーレット族とは、夜間・深夜帯に多く見られる首都高速道路の周回できる路線を高速で走り回るドライバー達のことですが、そんなドライバーたちに対する騒音対策と安全対策面の両立を考え設置された段差が、奇しくも「辰巳ジャンプ」などと呼ばれ、間違った使用用途で使われる皮肉な状況にあります。

 “ジャンプ台”という名前からもわかるように、減速するのではなく、あえて速度を上げてジャンプ台を通過し、クルマをジャンプさせているのです。

 映画などのカースタントではよく見る行為ですが、現実に一般的なドライバーが行なうことは、非常に危険な行為で交通事故に繋がる可能性も多く、クルマ本体にも悪影響が想定されます。

 では実際にどのような危険があるのでしょうか。

 カースタントのようにクルマで“ジャンプ”した際、最悪の場合着地時にハンドルが取られたり車体姿勢が乱れることで不意にスピンを引き起こし、車両や壁に衝突事故を起こすなど様々な事故につながるリスクがあります。

 特に辰巳PAでは、パーキングエリア出口から本線合流までに用意された、本線と並走する約100mの加速区間で、もし着地時にハンドルが取られ制御不能となった場合、中央線車線を越えてとなりの車線にクルマが流れ込み、本線側のクルマと衝突する可能性があります。

 また、この区間は高架橋な上、道幅も広いとは言えず、最悪のケースでは高速下に落下してしまう危険性すらあります。

 そうなれば自らだけでなく、他者を巻き込んだ命の危険につながる重大な事故となってしまうでしょう。

 クルマでジャンプする行為は、前述のような事故の危険だけでなく、クルマ自体にも深刻な影響を与える可能性があります。

 最も心配されるのは、足回りの故障です。

 まずは、タイヤとタイヤインナーフェンダーの接触が挙げられます。

 実際にあった事例として、「段差を勢いよく通過した後、足回りから変な音がする」というユーザーのクルマをリフトアップして足回りを点検したところ、次のような症状がみられました。

 タイヤインナーフェンダーは半分に折れ、タイヤフェンダー内に装着されているウォッシャー液タンクやパイプ、圧送ポンプが破損し、ウォッシャー液がエンジンルーム内に飛び散っていたのです。

 この事例では、諸々合わせて数十万円程度の修理代が実際にかかりました。

 ですが、さらに深刻なのは、車体下部にあるアクスル機構(ロアアーム・テンションロッド)の継ぎ目にゴムブッシュと呼ばれる緩衝装置があり、これを破損するケースです。

 ジャンプは、このアクスル機構のゴムブッシュにかなりの負担をかけてしまいます。

 元々ゴムブッシュが弱っているクルマだと、ブッシュ内のベアリングが破損してアクスル機構のアームが変形するなどして折れる危険性もあります。

 この場合部品代だけで、数十万円程度となるだけでなく、破損が生じると走行不能に陥ります。

※ ※ ※

 クルマでジャンプする行為は、事故だけでなくクルマ自体に深刻な故障を発生させる行為です。「辰巳ジャンプ」だけでなく、段差を通過する際は慎重に通過するようにすることが望まれます。

 自分だけでなく周りのドライバーにも配慮できる運転を心がけることが、愛車を守る行為にも繋がります。

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