クルマから「煙突」がニョキッ!? 本格SUVのボンネットから生えた謎の「パイプ」の意外な効果とは
本格的なSUVやラリーカーには時折、ボンネットの横から黒い煙突のようなパーツが伸びていることに気づきます。記事ではこのパーツの正体と、どのような効果があるのかを解説します。
クルマのボンネットから伸びた「煙突」の正体は?
2023年1月13日から15日に幕張メッセ(千葉県千葉市)で開催されたカスタムカーのイベント「東京オートサロン2023」。
ここで展示されているカスタムカーの中に「煙突」のようなパイプ状のパーツを取り付けたSUVが複数ありました。
ボンネットから生えたように見えるこの謎のパーツはいったいどのような機能を持っているのでしょうか。
その正体と役割について、車両を展示するブースの担当スタッフに話を聞きました。
「この部品の正式名称は『シュノーケル』といい、ダイビングで使用される同じ名称の呼吸用アイテムと近しい機能を持っています。
たしかに煙突のようにも見えますが、空気を“吐き出す”のではなく逆に“吸い込む”ための部品です。
悪路を走破するラリー競技などで川を渡ったりするシビアなシチュエーションで、クルマが水に浸かった際、エンジンが水を吸い込むことを防ぐことを目的に取り付けられています。
クルマのエンジンは、吸い込んだ空気と燃料と混ぜ合わせて燃焼させているので、空気が吸えなくなると停止してしまいます。
さらに、エンジン内に大量の水が入ったまま無理に動かしてしまうと「ウォーターハンマー」という現象が発生。エンジン内部のピストンやコンロッドが破損しエンジンブローとなる恐れもあります。
そのため、エンジンの吸気口を高い位置へと移設することで水の侵入を防いでいるのです。」
シュノーケルを備えた車両のボンネット内を見ると、一方はエンジンの吸気口に繋がっており、もう反対側は屋根の上まで伸びていることが確認できます。
―では、シュノーケルを装備したクルマならば、屋根の上の吸気口付近まで水に潜っても走行が可能なのでしょうか。
「いえ、実際にそこまで深く潜ることはありません。
あれほど高い位置に吸気口がある理由としては、最も衝撃が大きい“クルマが水面に突入した瞬間”に水を吸わないことを重要視しているためです。
たとえエンジンに水が入らなくてもドアの底面より上に水面が来るほど潜ってしまうと、特殊な防水処理をしない限りは室内に水が流れ込んでしまいます。
すると足元を通るハーネスなどの電装系から漏電を起こしてしてしまうので、その時点でクルマが停止したり故障が発生する危険性があるのです」
―吸気口を上部に移設する理由は理解できました。では排気口となるマフラーは上に伸ばす必要は無いのでしょうか。
「マフラーについてはその心配はありません。
マフラーからの排気はエンジンが動いている限り出続けるため、エンジンをしっかり吹かしながら走行すれば、マフラーが水面より下に潜ったとしてもエンジン内部に水が逆流することはありません。
もちろんエンジンが停止してしまうと逆流する可能性がありますので、渡河や冠水路の走行時には高い運転テクニックが求められます」
また、シュノーケルが役に立つのは水の中を走る場面に限らないといいます。
大型トラックでも普通に付いてますよね。こんなに目立つものではないですが。
むしろ、豪雪地帯で車が雪に埋まっても一酸化炭素中毒にならないよう、排気ガスを屋根付近から出せる煙突が欲しいです。
ま、洗濯機のホースのようなジャバラホースと金属の筒を加工すれば簡易式のものは作れるんですけど。マフラー付近の温度はさほど高くないですからね。取り付け部分はホースが溶けないようにして、出口は屋根に引っ掛ければOKですから。