「SUVならどんな悪路も走れる」は間違い!? 4WDの過信は危険! 悪路走行時の注意点とは

冬の雪道を走るときのポイントは?

 林道や岩場などの悪路でなくても、冬は雪道や凍結路(アイスバーン)を走行することもあるでしょう。

 雪道はスタッドレスタイヤを履いた4WDであればなんとかなりそうな気がしてしまうのですが、悪路走破性に優れた4WDでも状況によっては走れないことも多々あるということを覚えておく必要がありそうです。

SUVであっても雪道やアイスバーンは要注意!
SUVであっても雪道やアイスバーンは要注意!

 雪道よりもアイスバーンはさらに厄介で、少し溶け出した雪が水の膜になり、「ハイドロプレーニング現象」によってタイヤが浮いたような状況になれば、駆動力に優れた4WDでもタイヤのグリップを失ってコントロール不能に陥ります。

 カーブを曲がりきれず、対向車と衝突したり壁にぶつかってしまうなど、雪の多い地域では起こりがちなトラブルといえます。

 雪道に関して、長野県のスキー場でパトロール隊員として勤務するIさんに話を聞いてみました。冬の雪道での4WDトラブルと注意点はどんなものがあるのでしょうか。

「お客さまのほとんどがクルマでご来場されるのですが、スキー場は山岳地域に多いため、雪道を走行しなければなりません。

 たいていのお客さまはスタッドレスタイヤを装着されて来場されますが、道中は曲がりくねったアップダウンが激しい道が多く、カーブが曲がり切れずに雪壁に激突したり、前走車や対向車に追突するケースが毎年報告されています」

 通常なら2WDでも問題ない道でも、雪が降ると状況は一変。場所によってはスタッドレスタイヤを履いていても2WDでは登れないような坂道もあるのだそうです。

「4WDならではの駆動力が発揮される上り坂は良いのですが、問題は下り坂です。どうしても荷重が前に偏りがちになるため、後輪の接地が足りなくなります。

 前のめり姿勢の状態でブレーキをかけたりハンドルを切り過ぎると、フロントタイヤのグリップ力を失いやすくなってしまい、結果として曲がり切れずにガードレールや雪壁に激突してしまうのです。

 雪道は毎回コンディションが違うため、このスピードだと曲がれない、どこまでエンジンブレーキを活用するかなどの判断には経験値が必要になります。常に予測しながら運転する意識が大事だと思います」(スキー場のパトロール隊員 Iさん)

※ ※ ※

 4WDだからといってそのシステムを過信し、普段慣れないオフロードや雪道をいつもの舗装路のように走るのは危険だと認識しておいたほうが良さそうです。

 悪路や悪天候にも強いのですが、4WDがあくまで安全への備えのひとつと考えて、慎重に運転することを心がけましょう。

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Writer: くるまのニュースライター 金田ケイスケ

2000年代から新車専門誌・輸入車専門誌編集部を経て独立。専門誌のみならずファッション誌や一般誌、WEB媒体にも寄稿。
中古車専門誌時代の人脈から、車両ごとの人気動向やメンテナンス情報まで幅広く網羅。また現在ではクルマに限らずバイクやエンタメまで幅広いジャンルで活躍中。

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