大雪「立ち往生」で活躍! 雪道進む自衛隊のハコ型車両が凄い! 冬季に存在感示す「10式雪上車」とは

最近では、大雪によってクルマが動けなくなる立ち往生が発生することがあります。2022年12月中旬でも新潟県などで大雪による立ち往生が発生し、自衛隊に救援依頼が要請されました。このような大雪時活躍する自衛隊の秘密車両とはどのようなものなのでしょうか。

 2022年12月19日に北陸地方で大雪となった結果、北陸道などで大規模な立ち往生が発生。20日には一部地域に災害救助法が適用され、自衛隊が被災地で救援活動をおこなっています。
 
 自衛隊には降雪による災害時に活躍する雪上車が存在しますが、どのような特徴があるのでしょうか。

大規模な立ち往生などで活躍する自衛隊車両! 新雪の中を進む10式雪上車(画像:陸上自衛隊)
大規模な立ち往生などで活躍する自衛隊車両! 新雪の中を進む10式雪上車(画像:陸上自衛隊)

 朝起きて駐車場にいって自分のクルマが雪に埋まっていたら出かける気力が無くなります。

 気力が奪われるだけならまだしも、豪雪で自動車が立ち往生して交通が麻痺する事態が起きています。

 自衛隊にとっても雪は大敵です。

 しかしどんな天候でも任務をこなさなければなりませんし、災害派遣要請を受けて立ち往生したクルマの脱出支援や除雪にも出動することがあります。

 雪道の移動手段として自衛隊は専用の雪上車を持っており、現在配備が進んでいるのは10式雪上車です。

 10式といえば戦車が知られていますが、雪上車も戦車や装甲車と同じように採用年度によって○○式といった制式名がついており、10式戦車と同じ2010年度に採用されたことを意味します。

 配備されているのは雪の多い地域の部隊で、冬季にしか動かないので目にする機会の少ない車両ですが、駐屯地に行くと濃緑色のトラックやジープのなかで真っ白な車体は結構目立っています。

 戦車や装甲車と同じ装軌車(いわゆるキャタピラ車)なのですが、足回りの構造はかなり違います。

 戦車が巻いている鉄製の履板を組み合わせた履帯はどこでも走破できるようにみえますが万能ではありません。

 凍った路面ではスリップします。雪上車の履帯は滑りにくい強化樹脂製で地面に接する部分にはスパイクが埋め込まれて凍結した路面でも走行でき、柔らかい新雪で埋まらないよう接地圧を下げる幅広になっています。

 転輪も鉄製ではなくゴムタイヤが使われています。雪道には強いのですが履帯が摩耗してしまいますので舗装道路は苦手です。

 冬季しか動かせない雪上車はいわば期間限定車両ですので、ほかの季節は定期的に点検されるものの事実上放置状態です。

 それでも冬の出番になればすぐにエンジンがかかって動きだせるような信頼性と耐久性が求められます。

 特殊な構造のため価格も維持管理費も高価になるため。一般には手が出しにくい特殊車でもあります。

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