年末年始は臨戦態勢!? 知られざる「飲酒運転取り締まり」の実態! なかには通報で捕まるケースも
年末年始は、お酒をのむ機会が増える人も多いでしょう。元警察官が飲酒運転の交通取り締まりの実態について解説していきます。
知られざる「飲酒運転取り締まり」の実態とは
冬に入り、忘年会や新年会のシーズンを迎えます。今回は行動制限のない年末年始ということもあり、久しぶりに集まって飲み会をおこなう人もいるでしょう。
楽しい時間を過ごす人が増える一方、年末年始は「飲酒運転」が懸念されるシーズンでもあります。
今回は、筆者(元警察官はる)が警察官時代に実際におこなっていた飲酒運転の取り締まりの実態について解説していきます。
警察庁が公表した2021年中の飲酒運転による交通事故は2198件。そのうち152件が死亡事故となっています。
また2021年中の飲酒運転の取り締まり件数に関しては、酒酔い・酒気帯び運転で1万9801件も検挙されているという実態があり、罰則が厳しくなったいまでも飲酒運転はなくなっていないのです。
そんななか、警察では飲酒運転をはじめ、強盗などあらゆる犯罪が増加する傾向にある年末年始に特別警戒をおこないます。
飲酒運転に対しては、一斉検問やパトロールをしながらの交通取り締まりなどが強化されます。
とくに飲酒する人が増える夕方頃から深夜にかけての時間帯で、お酒を提供する飲食店が集中している繁華街や幹線道路付近などでは取り締まりがおこなわれやすいといえるでしょう。
飲酒検問では警察官が通行するクルマを停止させ、アルコールチェッカーを使ったり、運転者の呼気を嗅ぐなどしてお酒を飲んでいないか確認します。
筆者が警察官として取り締まりをおこなった際は、飲酒していることを隠すため、アルコールチェッカーにほとんど息を吹きかけないドライバーや、ほかの飲み物を飲んでお酒のにおいをごまかそうとするドライバーもいました。
また、飲酒しているドライバーは安全運転に必要な情報処理能力や注意力、判断力などが低下するため、蛇行運転や赤信号無視といった別の交通違反をしてしまうことがあります。
パトロール中に挙動がおかしいクルマを停止させたところ、飲酒運転が発覚したというケースもたびたびありました。
ドライバー自身はきちんと運転しているつもりでも、はたから見ると危険な運転をしているケースが多いのです。
そのほか、コンビニやスーパーの従業員など一般の人から「お酒を買ってクルマの中で飲んでいた人が運転していた」「駐車場でお酒を飲んでいた人がクルマに乗って出て行った」などの通報を受けて、警察が該当する車両を探して停止させるケースもあります。
こうしたケースについて、たとえば千葉県警察のホームページでは、目の前で飲酒しながら運転している人を見た、蛇行運転するなど挙動がおかしい車両を見かけたなどの場合には110番通報をするよう呼びかけており、飲酒運転の取り締まりは一般の人からの情報提供も非常に大切なものとなります。
また飲酒運転で警察に捕まったドライバーは、さまざまな言い訳や弁明をします。
具体的には「お酒を飲んでいない」とウソをついたり、「数時間前にお酒を飲んだのでアルコールが体から抜けていると思った」「自分では酔っていないと思っていた」などと話すケースもあります。
国土交通省の「飲酒に関する基礎教育資料」では、飲酒した人の性別や体重、体質によって個人差はあるものの、アルコール度数5%のビール350mlを飲んだ場合、アルコールが体内から消えるまでに3.5時間を要するというデータもあり、自分の感覚だけでお酒が抜けたと考えるのは危険といえます。
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さらに、飲酒運転を繰り返すドライバーの中には、「これまでに事故を起こしたことがないので大丈夫だと思っていた」と話し、飲酒運転による事故を他人事ととらえている人もいました。
飲酒運転がなくならない理由のひとつには、ドライバー本人の認識の甘さによるものもあると考えられます。
飲酒運転で死亡事故や重傷事故を起こしてしまった場合、被害関係者に多大な苦しみを与えることはもちろん、加害者本人も刑罰を受け、さらにその家族にも迷惑をかける可能性があります。
飲酒運転は人の命を奪う危険性のある行為ということを強く認識し、「飲んだら乗るな、飲むなら乗るな」の大原則を守ることが大切です。
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