こりゃすげぇ! 全長8m超えのクルマが「海」にダイブ!? 水陸両用のワクワクする自衛隊車「AAV7」の特徴とは

実は水陸両用車には独特のリスクもあった?

 水陸両用車独特のリスクもあります。

 船酔いと沈没です。大きいとはいえ車内にヘルメットや小銃、リュックなどを装着した隊員が20名以上乗り込めば窮屈です。

 さらに、窓もない閉鎖空間で方向感覚が狂わされ揺れとも相まって船酔いすることが問題です。

 あまり海面が荒れていると物理的にAAV7は航行できても、上陸後隊員が船酔いでヘロヘロでは任務を果たせません。

 もっと怖いのが沈没です。

 実際アメリカ海兵隊では2020年7月30日に訓練中に沈没事故を起こして8名の海兵隊員と1名の海軍船員が亡くなっています。

 以降アメリカ海兵隊ではAAV7の海上浮航を実施していません。

 そんなリスクに備える為水陸機動団が駐屯する相浦駐屯地には沈没時の脱出を訓練する大がかりな施設があります。

 大柄なAAV7が海岸に乗り上げてくるシーンは迫力がありますが、映画「史上最大の作戦」に描かれているような敵の砲火をくぐり抜けて、敵前に上陸することは基本的に考えられていません。

 武装も装甲も最小限でしかありませんし、水上の最高速度は13km/h程度であり航行中は脆弱です。

砂浜海岸に上陸した水陸両用車。日本の島嶼部はこうした砂浜は意外と少ない。(画像:陸上自衛隊)
砂浜海岸に上陸した水陸両用車。日本の島嶼部はこうした砂浜は意外と少ない。(画像:陸上自衛隊)

 水陸機動団の象徴的な車両ですが、実際の島嶼は岩場など上陸できない箇所も多く、実際に活躍できる場面は限られ、ヘリコプターを使ったほうがずっと効果的なこともあります。

 それでも天候などの条件でヘリコプターを使えない場面もあり、水陸両用車が不要ということにはなりません。

 輸送手段は多いほうが有利です。

 AAV7は中古車ですが陸上自衛隊は水陸両用車の扱いを経験し、次の水陸両用車を開発するテストベット的な性格もあります。

 防衛装備庁では90式戦車の2倍の3000馬力というエンジンを積んだ40t級の水陸両用車を研究しています。

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