なぜ「チャイルドシート」の一部製品が生産終了!? 親が知るべき安全基準「R44」と「R129」の違いは? 2023年9月以降に規制変更へ
R44とR129 何が違う?身長基準で選び、安全性能も強化
それではR44とR129。安全基準や仕様にはどんな違いがあるのでしょうか。
まず、安全性に関しては新基準R129を満たしたものが当然、高くなります。しかし、だからといってR44製品が危険というわけではありません。
チャイルドシート本体の安全性が高くても、取り付けや使用方法が間違っていたり、子どもの体格に合っていなかったりすると、万が一の衝撃を受けた際、子どもを守れない可能性が高くなります。
以下、順番に解説していきます。
1)R44は体重、R129は身長を基準に選ぶ
R44では乳幼児兼用では体重9-10kgまで。乳児専用は体重13kg前後まで後ろ向きでの使用となっていました。幼児用は18kg、学童用は36kgくらいまでを目安とされています。
これがR129では、身長76cmまでは絶対に後ろ向きで使用。幼児用は身長100cmから~105cmくらいまで。学童用はほとんどの場合、140cmから150cmまで安全に使える仕様となっています。
また、乳幼児兼用シートには身長105cm前後まで後ろ向き使用できる製品もあり、欧州では衝突安全の観点からできるだけ長い間、後ろ向きで使うことが推奨されています。
2)生後15か月を超えるまでは必ず後ろ向きで使用
R129(i-Size)では生後15か月までは必ず後ろ向きで使用します。ただし、15か月を超えても身長が76cmを超えるまでは前向き使用は禁じられています。
日本人の子どもの場合、生後15か月(1歳3か月)の平均身長は76cmから77cmですが、身長76cmを超えていても生後15か月を過ぎるまでは後ろ向きで使用してください。
R129の乳児用シートは最低でも身長83cmまでは後ろ向きで使える構造になっています。
3)ドア側からの側面衝突に対応
R44ではクルマにのせた状態で前後方向からの衝撃に対する試験をおこなっていましたが、R129ではこれに加えて赤ちゃんの頭や首を保護する観点からドア側からの側面衝突試験が追加されました。R129ではより安全性の高いつくりとなっています。
4)新生児ダミーに計測センサーを追加
R129のテストでは各種の計測センサーが付いたダミー人形を使用して衝突試験が行われています。
より精密に赤ちゃんの体にかかる負荷を想定できるようになったため、産まれてすぐの赤ちゃんにも安心して使用できます。
※ ※ ※
2012年7月にR44へ完全移行した際、それ以前の基準を満たして7月1日以降は出荷できなくなるチャイルドシートに関しては、大幅な値下げ販売がおこなわれました。
R44製品を買う場合はISO-FIX固定とシートベルト両方で固定できるチャイルドシートがおすすめです。
2000年4月に5歳以下の子どもをクルマに乗せる際にチャイルドシートの使用が義務付けられてから22年が経ちました。
日本はいまだに義務年齢が6歳未満(5歳まで)と先進国最低レベルで、同じ安全基準を採用する欧州のほとんどの国が12歳または身長150cmまでであるのに対して著しく低い年齢です。
義務年齢を過ぎてもクルマのシートベルトが安全に装着できる身長145cmから150cmになるまでは、ジュニアシートを正しく使用して子供を守りましょう。
Writer: 加藤久美子
山口県生まれ。学生時代は某トヨタディーラーで納車引取のバイトに明け暮れ運転技術と洗車技術を磨く。日刊自動車新聞社に入社後は自動車年鑑、輸入車ガイドブックなどの編集に携わる。その後フリーランスへ。公認チャイルドシート指導員として、車と子供の安全に関する啓発活動も行う。
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